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一番人気はソウルフード菓子「ビーバー」 被災地・石川県の臨時アンテナショップに予想5倍の来店…今「街のスキマ」が熱い

source : 提携メディア

genre : ビジネス, ライフスタイル

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今回の石川県の取り組みも、アンテナショップがリニューアルするまでの施策として、自然な発想として「ポップアップストア」という選択肢が考えられたのだろう。それは、この商業形態が一般化してきたことを表しているのである。

「街のスキマ」を探すトレンド

同時に、これは私見だが、近年の商業においては「街のスキマ」を探し、そこへ巧妙に出店する手法が進んできている。

「居抜き」出店はその代表例だ。2024年2月、ハンバーガーチェーンの「バーガーキング」が「バーガーキングを増やそう」というプロジェクトを打ち出した。

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これは、消費者の地元にある空き物件で、バーガーキングが入ってほしいと思う物件をバーガーキングに送るというもの。2月5日の募集初日に約2万件もの投稿が来たという。バーガーキングはこれまでも意欲的に居抜き出店を行ってきたが、その延長線上で、消費者に「街のスキマ」ともいえる空き物件を探してもらう手法に出たのだ。

コンビニジムとして知られる「チョコザップ」も、居抜き出店で出店攻勢をかけている。2023年11月までに1160店舗までに増加。その多くが居抜き店舗である。

2024年2月7日にはフジテレビ朝のニュース番組「めざまし8」が「居抜き」物件の特集。それが商業のトレンドになっていることを象徴的に表すこととなった。

こうした「居抜き」のトレンドの出発点は1990年代。その先駆け的な存在が、ディスカウント・ストア「ドン・キホーテ」や新古書店「ブックオフ」だった。これらは郊外にある閉店したさまざまな店舗を居抜く形で出店を進めてきた。こうした先駆的な存在の手法を学ぶ形で、近年では居抜きでの出店が増えている。

今回開催された石川県のポップアップストアもまた、駅の中の空きスペースを活用して出店されたもので、やはり「街のスキマ」を見つけ出して、上手く出店を進めている。近年流行する「街のスキマ」トレンドにも乗る形で、今回の石川県の取り組みはあったと見ることができるのだ。