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スターダムを駆け上がる妹と、過食と過酷なダイエットを繰り返す日々

 早々にブレイクした4歳年下の妹・すずへの複雑な気持ちもあった。芸能界デビューも女優デビューも広瀬のほうが先だったが、知名度が高いのはすずのほう。姉妹での共演も多かったが、すずに注目が集まることが多く、時には「セット売り」と揶揄された。このような状況が気にならないわけがない。広瀬は当時の気持ちを正直に告白している。

「妹の(広瀬)すずがブレイクして、姿が見えないほど先に行ってしまった時は、さすがに劣等感みたいなものが大きくて。『すず、どこ行っちゃったの?』って」(arweb 同前)。

 ストレスで過食に走り、仕事の前に過酷なダイエットをするという繰り返し。『ラジエーションハウスⅡ』(21年)で妹に劣等感を持つ女子高生が登場したときは、「妹に劣等感持って極端なダイエットして体調崩す乃愛ちゃん。あははっ昔の私だ」とツイートしている(21年11月22日)。

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 まわりからの言葉も響かず、足元だけを見つめ続けた「暗黒期」は実に7年以上も続いたという。

大きな転機は朝ドラ『わろてんか』の“重要な役”

 広瀬が転機として挙げるのが、朝の連続テレビ小説『わろてんか』(17年)への出演だ。広瀬はミスワカナをモデルにした女漫才師ミス・リリコ(秦野リリコ)を演じた。ひたむきで健気なヒロインの恋敵であり、“エンターテイメントの世界での女性の活躍”というドラマのテーマを体現する重要な役だった。ドラマの中で実際に漫才も披露している。

「これでもかっていうほど稽古をしましたし、何度も大阪に通って、何度も壁にぶち当たりました。人生でいちばんつらい思いをしたのが『わろてんか』。ドラマをやっていると、役に愛着が湧いて、『またこの役を演じたいです』って思える作品が多いんですが、『わろてんか』の秦野リリコに関してだけは、『やり切ったな』と思います」(FRAU 22年5月13日)

「この朝ドラで頑張ってダメだったらもう辞めよう」と覚悟した広瀬は、飲酒量を減らし、食事を見直し、ジムにも入り、体質改善を行った。ほかのキャストが食事に行っても一人でジムに行き、泣きながら走ったこともあったという(『ボクらの時代』22年4月24日)。