芸の稽古と演技に打ち込んだ結果、ドラマは大きな反響を得た。後藤高久プロデューサーは「できるとは思ったけど、僕らの期待をはるかに突き抜けてしまった」と驚き、漫才指導にあたった吉本総合芸能学院(NSC)のベテラン講師・本多正識は「友近以来」と絶賛。ミスリリコが漫才師として活躍する週は番組最高の視聴率を記録した(MANTANWEB 18年3月17日)。広瀬は「自分の感覚、価値観、姿勢とかを全部変えてくれましたね」と振り返っている(『ボクらの時代』同前)。
ブレイクした矢先に起こった突然の舞台降板、1年近くの休養生活
『わろてんか』で女優開眼した広瀬は、立て続けにドラマや映画へ重要な役で出演、バラエティ番組でも活躍してブレイクを印象づけた。
ところが、そんな矢先の22年4月23日、体調不良で舞台降板を発表する。同時期に主演していたドラマ『探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~』と『恋なんて、本気でやってどうするの?』の撮影は完走したものの、その後、10か月の休養に入った。
さまざまなコンプレックスで悔しい思いをしていた時期が長かった分、『わろてんか』以降は仕事に没頭し続け、夢でもずっと仕事をしていたという(『アナザースカイ』同前)。一人になると落ち込んでしまって自然と涙が止まらなくなることもあった(『ホンマでっか!?TV』21年1月13日)。
主役が増えたことで余裕がなくなり、これまで見えていたものさえ見えなくなってしまった。「どこかで『引っ張んなきゃ』とか、『自分が一番笑顔でいなきゃ』とかって。追い込み癖ですよね」と話し、自分をいたわることを目標として掲げた『ボクらの時代』が放送されたのは、奇しくも休養宣言の翌日であった。
休養中は何もせず、のんびりと景色を眺めて過ごした。これまで断っていたラーメンを解禁したこともあったが、食べているときにむくみに気づき、箸を折ってサウナスーツを着て走りに行ったという(『アナザースカイ』同前)。休養中の出来事さえ、こういうエピソードにしてしまうのが彼女らしい。