コンビニエンスストアさえあれば
したがってオフィスビル地下には必ずしも飲食店は必要ではなく、コンビニエンスストアさえあれば、オフィスでのランチは事足りてしまうのだ。実際にランチ時のコンビニで大量の会社員たちがレジで行列を作る光景は、日常化している。
オフィスを借りるテナントの専有部内に電子レンジがあるのもあたりまえだ。コンビニで買ってきた、自分が食べたいものをレンジで温めればそれでよい。自分の席で食べる、気に入れば会議室や最近のオフィスで多く採用されている自社内のフリースペース、リラックスゾーンなどで気の合った仲間と一緒に食べる。
ついでに食後のコーヒーだって喫茶店に行くよりも、コンビニのコーヒーで十分美味しいし、自分の席でまったりするのに、わざわざ地下の飲食店街に足を運ぶ必要も感じないのだ。
ヒルズやミッドタウンのようにデベロッパーが総力を挙げてこしらえた飲食店街、物販店街は、外から人を呼び込むべく、各社の商業施設本部が本格的に店舗配置を含め、運営に力を入れているが、その他の多くのオフィスビルでは、歯抜けになった飲食店街を放置しているようにみえる。
大手デベロッパーでは、住友不動産がオフィスビル内の店舗を極力設置しないことで、従来から有名だった。お店は管理が面倒だし、たいして賃料もとれない。だからテナントはよそのビルの飲食店を利用してくれ。住友不動産はにべもなかったのだ。これからの時代は、どうやら住友方式が正解になるのかもしれない。オフィスビル内飲食店に未来はなさそうなのだ。