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数十分前に話した母親が怪死した…独身中年男性の“悪夢”を描くアリ・アスター最新作 「ボーはおそれている」を採点!

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〈あらすじ〉

 独身の中年男性ボー(ホアキン・フェニックス)は、著名な実業家の母親モナに育てられた。犯罪の恐怖が支配する都市で、日常の些細なことに不安を感じながら1人で暮らしている。

 ある日、数十分前に電話で話した母親が怪死したという報せを受ける。パニックを起こしたボーは、アパートを飛び出したところで車に轢かれてしまう。目を覚ますとそこは、ボーを轢いた夫婦の家だった。回復するまでそこで過ごすはずだったが、モナの弁護士から、葬儀のために即座に実家へ戻ることを強く求められる。夫婦の家を逃げるように飛び出したボーに、次々と恐怖が襲いかかる。

〈解説〉

 母親の元へ帰ろうとする主人公の悪夢のような旅を、4部構成で描くオデッセイ・スリラー。『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』に続くアリ・アスターの脚本・監督作。179分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★★ホアキン・フェニックスの思い切った人物造型。悪夢か現実か。喜劇か悲劇か。中年オヤジ、不思議の国のアリスのよう。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆細長い廊下や夜の森など、空間の選び方が「悪夢力」に頼りすぎだ。爆発力はあるが、母と子の抑圧的な関係描写は月並み。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★☆☆☆演出、展開、映像の全てが神経に障る、監督による快感を裏返しにする剥き出しの愛撫は、恐ろしい以上の地獄の体験。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆異様なパワーで転がっていく受難型の特殊冒険譚。痙攣した笑いに満ちた不条理劇にして、母と息子の暗い寓話でもある。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆他者のセラピーセッションを追体験する奇妙さ。『ヘレディタリー/継承』のミニチュア造形と造形作家が同じ点は興味深い。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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INFORMATION

ボーはおそれている(米)
2月16日(金)より全国公開
https://happinet-phantom.com/beau/

数十分前に話した母親が怪死した…独身中年男性の“悪夢”を描くアリ・アスター最新作 「ボーはおそれている」を採点!

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