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《追悼》「スイスでの安楽死も考えたよ。でも…」末期のすい臓がんを公表した叶井俊太郎(56)が明かす、現在の心境〈体重は30kg減〉

叶井俊太郎氏インタビュー#1

2024/02/17
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叶井 「それはできない」って。俺は「早く死にたい」と言ったのよ。「痛くなったら治療してほしくない」って。でも、病院としてはそういうわけにいかないって。「助ける」だって。だから俺、病院に行くのをやめようかなと思ったりしたの。だって、助けられたら痛みが続くから困るじゃん。

ーーとにかく、いまのところ「早く死にたい」と。

叶井 早く終わらせたい。

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抗がん剤治療をしない選択をした理由

ーー安楽死とかを考えたことは?

叶井 考えたよ。考えたけど、スイスまで行くのがめんどくさいっていう。体力的にダルいし、いま飛行機に乗るのはキツいよ。

ーーたとえば、寝たまま起きないのが理想というか。

叶井 そうね。寝てる間に、そのまま死んでるのが理想だよな。

 

ーー未練はないってことですが、それは20代、30代、40代の頃に末期がんになってもそう思えました?

叶井 20代で末期がんって言われても、死ねます。一日一日が充実してるんだよ。だから、まったく未練はない。それに、若いと進行も早いし、抗がん剤治療をして体に不調をきたすのもしんどいので、死ねます。

ーー本では、髪の毛が薄くなるのが嫌だから抗がん剤をやらなかったとも話してますよね。

叶井 抗がん剤で弱るでしょ。結構、吐く人多いよね。

 俺、がん研有明病院に行った時さ、ロビーに抗がん剤をやっている人たちがいっぱいいて。みんなニット帽かぶって、桶とかゴミ袋を持って歩いてて、隅っこのほうでゲーゲー吐いてて。やっぱり、その光景を見たらさ。あれは俺、キツいなと思った。本当に体力取られるし。食べれないし、吐いちゃうし。

 しかも、何クールとかあるじゃん。十何回とか。抗がん剤治療をしてよくなる人もいるから考え方は人それぞれだけど、俺はやらないって選択をした。

8カ所病院行ったが、どの医者も同じこと言っていた

ーー抗がん剤を含め、標準治療はやってないんですよね。

叶井 俺の場合はすい臓がんが分かったときはステージ3で、そのままだと余命半年、長く見ても1年って宣告されたの。で、「抗がん剤でがんを小さくして手術で取り除くっていう流れになります」と。でも、「抗がん剤が効いたとしても手術の成功率は10%か20%で、残りの80%か90%は転移か再発です」って言うの。「その10%に、みなさんは賭けてる」とも言うんだけどさ、10%に賭けられないなって。

 それじゃ、標準治療をやってもさ。

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