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黒字化は可能か

 ――しかし無尽蔵に資金があるわけではありません。2020年に参入したとき、当面の目標を契約数700万〜800万件としていました。2022年は無料キャンペーンで順調に契約件数が伸びて500万件を超えましたが、キャンペーンが終わると一旦、減って、その後、再び増え始めました。市場関係者は楽天モバイルの実力を測りかねています。

 三木谷 昨年の6月に「Rakuten最強プラン」という新しい料金プランを発表してから契約件数は純増に転じていて、8月下旬に500万件を超え、年末に600万件まで伸びました。キャンペーンをやめた後、一時、解約が増えましたが、それも収まり、この数ヶ月は月に20万件程度の純増になっています。このペースが続けば年内に800万件を超え、楽天モバイルの単月黒字、さらにグループ全体の黒字化が視野に入ります。

 ――参入時に掲げた「当面の目標」に届かなかったのは、どこに誤算があったのでしょう?

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 三木谷 予想外のことがあったとすれば、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの先行3社が強烈な対抗策を出してきたことです。

 ――アハモ、ポヴォ、ラインモといった新プラン、新ブランドのことですね。

 三木谷 我々(楽天モバイル)はデータ使用量無制限、3社の新プランは月20ギガまでのデータ量の制限付き、という違いはありますが、それでも3社が2700円から2970円と、ここまで思い切った値下げをしてくるとは、予測していませんでした。無料キャンペーンなどで楽天モバイルに加入した利用者の一部が、3社の新プランに流れた部分はあったと思います。

 その分、日本全体の携帯料金が下がったわけですから、我々の参入に意味があったとも言えます。まあビジネスは競争相手があるものですから、全てが自分たちの思い通りに行くわけではありません。相手も必死にやってきますから。厳しい対抗策が出てきたなら、次はこちらがどういう手を打つか、ということです。

つながりやすくなりますか?

 ――「Rakuten最強プラン」の中身を聞いた時には、これまでの楽天モバイルの弱点が補われていましたから、「獲得につながるかも」と思ったのですが、契約件数は微増にとどまっています。

 三木谷 そこは我々にも責任がありまして……。

 ――責任というと?

 三木谷 「価格」と「つながりやすさ」でまさに「最強」のプランなのですが、5月12日の発表会で、つながりやすくなるのは「6月以降」とも受け取れる表現をしてしまい、お客さんに「いますぐつながりやすくなる」という印象を与えてしまったんです。後から「順次」とお伝えしたのですが、実際に「つながりやすさ」が本格的に改善するのは10月末以降からでした。

 ――これまで「つながりにくかった」のはなぜですか。それがなぜ「つながりやすく」なるのですか。