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「既に女性をモノのように…」松本人志問題でテレビがコメンテーターに“求めるもの”

2024/02/20
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 松本人志の問題については2月に入ってからも、テレビの情報番組や情報系バラエティ番組などで連日のように報道されている。

 1月22日に松本人志側が文藝春秋を相手に提訴し、その裁判で今後は審理されることになるため、「提訴から3週間」や「文春『訴状は届いていない』」「3月28日に裁判開始」などをトピックにしたテレビの報道が目立った(2月16日、「週刊文春」編集部は「訴状は届きました」と発表)。

 今回の問題について、弁護士や専門家が登場して伝える「解説」に加えて、コメンテーターが述べる「意見」に注目すると、番組の姿勢がよく見えてくる。(執筆:ジャーナリスト・上智大学文学部新聞学科教授の水島宏明氏)

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松本人志氏 ©時事通信社

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「女性のモノ扱い」への意見

 コメンテーターは通常、大学教員、政治家、社会活動家、モデル、タレント、スポーツ選手、企業家、芸人まで様々な人たちがいる。誰に語らせるかでそれぞれの番組がその問題をどんな切り口で取り上げたいのかが浮かび上がってくる。

 2月4日放送のTBS系「サンデー・ジャポン」(以下、「サンジャポ」)で、たむらけんじによる「『女性をモノのように扱って、モノのように上納している』っていう書かれ方をしているんですよ。それは絶対に違う」との反論に対して、斎藤幸平・東京大学大学院准教授が、こう指摘した。

TBS「サンデー・ジャポン」1月21日放送より

「今日の日本の感覚から言うと、『女の子いないから、ちょっと女の子を呼んでくれよ、呼ぼうぜ』みたいなことを言ったりやったりすること自体が、既に女性をモノのように扱ってしまっていることになるんじゃないかなと思うんですね。

 それにあわせて今、刑法も変わってきていて、昨年、強制性交罪から不同意性交罪に変わった。その中の要項の一つに社会的、経済的な地位を利用した性行為を迫る行為自体も、不同意性交罪に入る。今回のように若い女性をホテルの一室に呼び出して、松本さんのような非常に著名な方がもし実際に迫っていくみたいなことがあれば、場合によってはこういう刑法が当てはまるような事例になっていくのではないかと思いました」

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