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鶴見の産業道路にある「ポツンと一軒そば屋」は、労働者のオアシスのような存在だった

鶴見の産業道路にある「ポツンと一軒そば屋」は、労働者のオアシスのような存在だった

2024/02/27

genre : ライフ, グルメ,

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 つゆをひとくち。鶴見の大衆そばのつゆは薄口醤油を使った、いわゆる「鶴見系つゆ」という関東では希な関西系の透き通った黄金色のつゆを提供する店が多いのだが、こちらはまさにその典型例だった。昆布が十分に利いていて、鰹節なども出汁に使っているようだ。とにかく震えるくらいうまいつゆだ。昆布の味がこれでもかと押し寄せる。そばは近隣の製麺所の茹で麺だが、ぷりっとしていて存在感があるし食べやすい。軽い感じの麺である。

 春菊天は薄いカリッとした横須賀系に近い揚げ姿で、かじるとハラハラとほぐれていき香りが立つ。関東のハードボイルドな返しのつゆと違って、こちらの味はうまさがじんわりとしかもしっかり伝わってくるような味である。わかめもいい仕事をしている。これはうまい。あっという間に完食してしまった。

カリッとした春菊天がうまい
ぷりっとした麺にわかめもうまい

納豆がのった「ネバトロたぬきそば」を追加注文

 そうこうしていると、1人のオジサンが調理油やたくさんの調味料、食材、大量の納豆を担いで入って来た。そして、従業員に「これでいいかな、後は頼むよ~」といってすぐに出ていった。きくとその方がオーナーさんだった。大量の納豆を持っていたのできいてみると、最近発売した、納豆がのった「ネバトロたぬきそば」(600円)が人気だという。そこでさっそく追加注文してみた。

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「ネバトロたぬきそば」には納豆が付く

 しばし待つこと2分。「ネバトロたぬきそば」が大きめのどんぶりで登場した。納豆もセットで付いてくるので自分で混ぜるわけである。どんぶりにはたぬき、とろろ昆布、大量のわかめ、ねぎがのる。それに作った納豆をセンターに入れて完成だ。