宇宙ベンチャーによる人工衛星打ち上げが急増し、民間企業が月着陸をも目指す時代。国立天文台の台長特別補佐・平松正顕さんは「宇宙開発の中でも、以前はSFの中だけの話だった技術が進化し、宇宙開発が現実味を帯びています。映画『スター・ウォーズ』でおなじみの、遠隔地に人の姿を3次元で投映するホログラムも、地上と国際宇宙ステーションとの間で成功しています」という――。

※本稿は、平松正顕『ウソみたいな宇宙の話を大学の先生に解説してもらいました。』(協力:ナゾロジー、秀和システム)の一部を再編集したものです。

ガンダムみたいなスペースコロニー建設のための真面目な論文

SFチックな宇宙ビジネス関係の話をご紹介します。

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2020年代に入ってから宇宙ベンチャーによる人工衛星打ち上げが急増し、民間企業が月着陸をも目指す時代になっています。以前はSFの中の話だった技術が現実味を帯びています。

SFにもよく出てくるのは、宇宙に浮かぶ巨大都市「スペースコロニー」です。有名なのは、物理学者ジェラード・オニールが構想した「オニール・シリンダー」。2本の巨大な円筒形のコロニーを並べてそれぞれ回転させることで人工重力を生み出し、内部に暮らせる環境を作ります。

円筒は長さ32km、直径8km、収容人口は1000万人。一方で現実の宇宙には有人基地は国際宇宙ステーション(幅110m)と中国宇宙ステーションしかなく、合わせても滞在できるのは10名ほどです。

出所=『ウソみたいな宇宙の話を大学の先生に解説してもらいました。』

なぜSFに追いつけないかと言えば、宇宙に打ち上げられる物資に限りがあるからです。国際宇宙ステーションは40回以上のロケット打ち上げに13年を費やして完成しましたが、そのペースではスペースコロニーは全然無理。「じゃあ、そもそも宇宙にあるものを使えばいいのでは?」と至極シンプルなアイディアが出てきました。

それは、太陽系にたくさん浮かんでいる小惑星を使うもの。アメリカ・ロチェスター大学の大学院生ピーター・ミクラフチッチさんたちは、コロナ禍のストレスを解消するクレイジーな研究として、スペースコロニーを題材に取り上げました。小惑星にはとてももろい性質を持つものもありますが、それを逆に利用します。ミクラフチッチさんたちのアイディアは、以下のようなものです。