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 まさに創価学会に近い立ち位置にいるからこそ、その実態に気づき、教団に失望する場合もあるといった例である。

 また、このように創価学会に批判的、敵対的な姿勢にはならずとも、無関心、不熱心といった態度で過ごす2世、3世となると、さらに多くいる。

3世会員が語ったこと

 1974年生まれの創価学会3世会員で、『創価学会員物語』の著書がある清水敏久は、季刊『宗教問題』28号に寄稿した「“ごく普通の創価学会員”が語る創価学会の衰退とその可能性」のなかで、次のように書いている。

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「今度の選挙では公明党に投票してくれるんでしょうね」

「俺はもう大人なんだよ、お母さん。どこに投票するかは自分で決めるよ。自民党だろうが共産党だろうが俺の自由じゃないか」

「そんなこと言わないでちょうだい。バチが当たるから」

 成人して以後、何度もくり返された会話だ。

 清水は、創価学会に対する熱心な信仰心を持つ母親(故人)に辟易してきた過去をこう語るのだが、自身は創価学会を脱会してはおらず、両親の年忌法要のために、地域の創価学会の会館に通う程度のことはしているという。しかし、同時に清水は自身の信仰心について、「日常において自分が創価学会員であると意識することはあまりない」とし、そうした自分のような創価学会員こそを、「どこにでもいそうな普通の創価学会員」と規定するのである。

 つまり、こうした清水のような、「日々活発に活動するわけでもない創価学会員」(学会内部では「不活会員」「末活会員」などと呼ばれる)が、特に2世、3世会員の間では多数派でさえあるのが現状だ。

天理教校は閉校、PL学園は…

 創価学会以外に目を転じても、例えば天理教を運営母体とする天理教校学園高等学校は2023年に閉校している。またPL教団が母体のPL学園高校では、甲子園優勝経験もある有名野球部が2016年に休部となった。2022年度の在校生は3学年全体でわずか75人で、ほとんど存亡の危機に近い状態に追い込まれている。これらは個々の背景事情もあるにせよ、多くの2世信者たちが教団の教えをまっすぐに信じて、それぞれの教育機関を理想の学び舎として深く認識している状況であれば、まず起こりえない事態だ。

 このように、日本の新宗教団体における親子間の信仰継承は、どの団体でも到底うまくいっているとは言いがたい。そして同様に、創価学会からも、若い活力が奪われているのである。

(文中一部敬称略)