「スモールスタート」で成功を少しずつ重ねていく方がいい
――BiSHからひとり立ちする不安や悩む気持ちがかなり書き込まれていました。
ジェイソン 学生や正社員という“本業”をやりながら、将来のことやセカンドキャリアを考える人たちも同じような悩みを抱えていると思います。卒業したり仕事の期間が終わってから動いても遅いから。
モモコさんもBiSHの活動に追われながらそれをやった。解散後の自分は何をしたいのか、何ができるのかをずっと考えて、そのなかで文章を書きたいという思いを大事にして、少しの時間を見つけて、『解散ノート』のもとになる気持ちの記録や小説を書き始めた。彼女は「スモールスタート」を重ねたんだと思います。
――「スモールスタート」ですか?
ジェイソン そう。やりたいことに迷っている人へ、僕がアドバイスする考え方です。わかりやすく言うなら、失敗してもいいから少しずつ挑戦をしていくことです。そうやって小さな成果を重ねて場数を踏んでいく。うまくいかなくても失敗のリスクは小さいから、次の挑戦に向けて力や気持ちを残せる。
これが、はじめから大きな目標を掲げて、成功しなければ人生終わりというような挑戦だと、失敗した時にそれですべてが終わってしまう。一か八かの挑戦はリスクも大きくて危険ですよね。だから、成功を少しずつ重ねていく方がいいんです。
芸能界にいるのは運以外のなにものでもない
――IT企業の正社員であるジェイソンさんが、芸能人としての立場を勝ち取ったのもスモールスタートを意識した結果ですか?
ジェイソン 僕が芸能界にいるのは勝ち取ったんじゃなくて、運以外のなにものでもないですよ。
芸人に興味があってワタナベエンターテインメントの養成所に入ったのも、仕事を辞めたわけではなくて、平日は正社員の仕事をしながら、週末の自分の時間を使って芸人のようなことをやっていただけ。だから一度もテレビに出ることがなかったとしても、それは僕の週末の時間の使い方として割り切れたし、別の新しい挑戦を選ぶだけの話で、何のリスクも損もなかったんです。
それくらいの気持ちでやってたら、たまたま2015年の「R-1ぐらんぷり」の決勝に進出して、芸人としての仕事をもらえるようになったんです。まだ芸人としては1年目で、お笑い芸人で“ごはんを食べる”つもりは少しも無かったんです。
――自分がやりたい、楽しい、と思う方へ向かっていったら成功した。
ジェイソン 「楽しいから」やったんじゃなくて、僕がやりたかったのは「成功すること」。芸人としてとか、ビジネスマンとしてとかではなくて、何でもいいから成功したかったんです。成功という結果を得るためにいろんなことを試して、これならば注目される、フォロワーを一気に伸ばせる、そう考えて行動しました。
お笑い芸人を目指している人の中で成功した人が何人いる? ひと握りなんてもんじゃなくて、ひと粒。可能性ゼロに近い大きい目標のために時間を使うなら、成功のかたちにはこだわらずに、小さな成功で得た知名度やコネクションを活かして“次”を目指した方がいいね。だから、今やっていることは、もっとうまくいくための次への下準備ですよ。