BiSHのメンバーだったモモコグミカンパニーが、「解散宣告」から東京ドームで行われたラストライブまでの3年半の気持ちを書き記したドキュメンタリーエッセイ「解散ノート」

 この本を“あの人”はどう読んだのか。聞いたのは、IT企業の正社員でありながらお笑い芸人としても活躍し、著書の『ジェイソン流お金の増やし方』と『ジェイソン流お金の稼ぎ方』が合計85万部を超える大ヒットとなった厚切りジェイソン。ジェイソンが注目したのは、モモコグミカンパニーの「成果」の重ね方だった。

厚切りジェイソン

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『解散ノート』でアイドルの見え方が変わった

――『解散ノート』は、事務所社長の渡辺淳之介さんがBiSHを解散させる考えを6人に伝えた日から始まって、2023年6月29日の解散ライブまでの3年半をモモコさんの言葉で綴っています。厚切りジェイソンさんはこの本を読んでどんな感想を持たれましたか? 

厚切りジェイソン(以下、ジェイソン) はじめての世界を覗くような気持ちがしました。正直言うと「ガールズグループ」や「アイドル」の世界はあまり知らなかったから、僕が目にしているテレビやステージとは違う姿を知って、見え方が変わりました。

――どう変わりましたか?

ジェイソン スポットライトが当たっていない場所での努力や迷いとか。あとBiSHを解散させることが決まってから、それに向けた準備もしなければならない苦労も。ファンの人たちがまだ何も知らない時期に、そういう気持ちを作るのは大変だったと思います。

――モモコさんの言葉で印象に残った表現はありましたか?

ジェイソン 「自分を安楽死させてあげたい」と書いてあった部分は激しいと思いました。

 発言が切り取られて炎上する時代だけど、炎上を気にして言葉を選んでしまったり、言いたいことが言えなくなってしまったら自分は何のためにモモコグミカンパニーであるのか。それを問いかけているところがありましたよね。僕はこのくだりが印象に残りました。

モモコグミカンパニー

 当時の正直な気持ちだと思うんですけど、BiSHが解散してモモコさんがひとりで何かを発信することになった今はどう考えているんだろう。“あの時”と“今”では考え方にも変化があると思うので、そういうところに興味はあります。この本はそういう読み方もできますよね。

本音より建前が大事になる時はある

――そう感じるのは、ジェイソンさんもコメントを求められたり講演会に立つ機会があるからですか?

ジェイソン そうですね。芸能界といってもビジネスの世界なので需要と供給のバランスはあります。自分の考えはあっても、世の中が求めていなければ仕事としては成立しない。そうすると“合わせ”にいかなければならなくて、本音より建前が大事になる時はあるんですよね。

 モモコさんのなかにあった「何者にもなれていない自分」への思いと、まだ見えない未来への不安が、この本の中にはたびたび出てきます。『解散ノート』を読んでいると、芸能界に飛び込む前の自分が感じていたことをいろいろ思い出したし、実際に飛び込んでみると現実は違うこともたくさんあったから、彼女を応援したい気持ちになりました。