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壊れた家具、倒壊した塀の瓦礫、道路の被害…「人手が足りないのは傍目から見ても分かった」能登半島地震ボランティア60日後の“現在地”

2024/03/01

genre : ニュース, 社会

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 東日本大震災の復興支援の活動をきっかけに、ボランティアに“ハマって”しまった。

 日常生活で「人の役に立っている」と実感できる機会は、そう多くない。偽善と言われようが、自己満足と言われようが、災害が起きた時は、時間が許す限り、ボランティアに参加するようにしている。2015年の栃木県鹿沼市の水害、2016年の熊本地震、2018年の広島県の集中豪雨など、全国各地の被災地に出向き、1~2日間という短い時間でも、復興のお手伝いをさせてもらっている。

 2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災地にも、2月19日にボランティアとして参加した。その体験レポートをお届けしたい。

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元旦に能登地方を襲った大地震の後、石川県羽咋郡志賀町で倒壊した建物の下になり破損した車 ©時事通信社

能登半島地震のボランティア「これまでとの3つの違い」

 能登半島地震のボランティア活動は、従来の災害と異なる点が3つある。

 ひとつは、参加希望者はネットでの事前登録が必要な点だ。今までは前日までにボランティアセンターに電話をしたり、当日に受付をしたりすれば、誰でもボランティアに参加することができた。

 しかし、今回は事前に個人情報やボランティア経験などをネットで登録しなければ、ボランティアに参加することができない。もちろん例外はあるが、今回のような県が運営している一般公募のボランティアの場合は、最低限のネットのリテラシーがなければ、参加することが難しくなっている。

 2つ目の違いは、先着順でボランティアの参加が決定する点である。事前登録後、石川県災害対策ボランティア本部から、業務内容や受付開始日時などを記したメールが届き、申し込むのが手順となる。

 しかし、ボランティアには2万人近い人が登録しており、募集開始から3分ほどで全ての枠が埋まってしまい、参加すること自体が困難な状況になっている。

 私の場合、ボランティアの申し込みが少ないと予想される平日を狙って、募集人数の一番多い市町村に参加を希望することで、運良く参加の権利を得ることができた。

「プラチナチケット」化しているボランティアだが、回を追うごとに募集人数は増えており、いずれこの問題は解消されていくと思われる。

 3つ目の違いは、参加するボランティアは一旦金沢駅に集合して、大型バスで被災地入りする点である。従来の災害の場合、各自が自家用車で現地に出向くケースが多いが、今回は道路の被害が大きく、復興作業の車を優先しているため、ボランティアはバスに乗って、集団で被災地入りすることが決められていた。

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