ボランティアをスムーズに行うコツは、「積極性」だと思っている。即席で集まったメンバーで上下関係がなく、命令したり、注意したりする機能が皆無なので、えてしてチームとしては「脆弱」になってしまうからだ。自ら進んで仕事を見つけて、自分の意思で動かなければ、1日中、何もせずに終わってしまうことになる。「何のために自分はここに来たんだろう」と後悔しないためにも、積極的に動くことが得策と言える。
一方、どのように工夫すれば参加者同士で協力して効率よく作業ができるのかを考えるのも、ボランティア活動の醍醐味といえる。まったく見ず知らずの人たちが集まり、力を合わせて被災した人たちのために働くことは、日常の仕事や生活でも役に立つ貴重な体験といえる。
被災地で「決して口にしないと決めている言葉」
12時を過ぎると、1時間の昼休憩を取った。昼食は各自で持ち込むことが決められており、事前にコンビニなどで買ったおにぎりや菓子パンなどを口にする。
気温が上昇する季節になると、腐敗する恐れもあるので、極力、保存の効く食事を持ち込んだ方がいいだろう。また、ゴミは各自で持ち帰らなければいけないので、缶ジュースや残り汁が出やすいスープ類の食事は避けたほうがいいだろう。
今回、自分が参加したチームは一人一人が積極的に動き、チームワークも良かったことから、予定よりも1時間ほど早く作業が終了した。
「本当に助かりました」
住民の方から感謝の言葉をもらう。個人的意見だが、この時に「頑張って下さい」「大変ですね」という声掛けはできるだけ慎んだほうがいい。短時間のボランティアだけでは、被災した人の気持ちまでくみ取ることは難しい。不用意な言葉を口にしてしまう恐れもあるので、さりげない挨拶と言葉を返すのが、理想的な対応といえる。
一緒に活動したメンバーに話を聞くと…
ボランティアセンターに早めに戻ってきたこともあり、一緒に活動したメンバーに話を聞くことにした。
一人目は石川県在住の湯川裕一さん。今回で9回目の参加だという。被災地のボランティア活動の現状を訊ねてみた。
「住民からの要望が増えていることもあり、現場でのボランティア不足は常に感じています。みんな一生懸命、頑張っているのですが、全員が初めての体験になるので、スタッフもボランティアも手探りの状態で動いている状況です」