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壊れた家具、倒壊した塀の瓦礫、道路の被害…「人手が足りないのは傍目から見ても分かった」能登半島地震ボランティア60日後の“現在地”

2024/03/01

genre : ニュース, 社会

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 いつもと勝手が違うボランティア活動だが、ネットによる事前の登録などのデジタル化は、現地に到着してからの煩雑な手続きが簡略化されるので、非常にありがたい。バスの移動も、被災地の交通事情を考慮すると致し方ない対応といえる。

朝7時半、金沢駅に到着。行き先は…

 午前7時30分、集合場所となる金沢駅西口に到着した。既に20人近いボランティアが集まっており、各被災地に向かうバスが到着すると、次々に乗り込んでいった。

被災地別にボランティアを送迎するバスが次々に到着する

 私が希望した活動場所は、最大震度7を記録した「志賀町」だった。募集人数が最も多く、金沢市内からも近いことから、少しでも長く支援活動ができると思い、この町を選んだ。

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 なお、バスは満席状態になるので、手荷物は最小限にしたほうが良さそうである。私の場合、余計な荷物は金沢駅のコインロッカーに預けて、できるだけバッグはコンパクトにまとめた。

 また、志賀町までは1時間半の道のりで、途中、パーキングエリアで1回休憩が入るが、バスにはトイレが備え付けられていない。お手洗いが近い人は、前日のアルコールの摂取と朝のカフェインは控えた方がいいだろう。

 9時30分、志賀町のボランティアセンターに到着。10名前後のチームに振り分けられて、椅子に座って待機していると、被災地の支援を行っている社会福祉協議会のスタッフから、活動の際の注意点が告げられた。

ボランティアセンターに到着すると名前の書かれたシールを渡される。免許を保有しているのでハイエースの運転を任された

 一番厳しく言われたのは、被災現場での写真撮影だった。被災者や被災した建物の撮影が禁止であることはもちろんのこと、SNSへの写真や動画のアップは「絶対にやらないでください」と強く言われた。従来のボランティア活動では「写真の撮影は慎みましょう」ぐらいのニュアンスでしか伝えられていなかったが、近年のSNSの炎上トラブルから、厳しくルールが定められたようである。

ボランティアをスムーズに行う“たったひとつのコツ”

 私の配属されたチームに課せられた業務は、ボランティアセンターから車で20分ほどのところにある個人宅の災害ゴミの運搬作業だった。ハイエース1台と軽トラック2台で現地に出向き、住人の方に挨拶をし、早速、作業に入った。壊れた家具を運び出したり、倒壊した塀の瓦礫を運搬したり、力仕事が主となった。

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