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斎藤 150か所ぐらい受けて、ほとんど落ちました。8年くらい挑戦し続けて、やっと千葉県のローカル番組に受かって、深夜バラエティに少し出られたんです。でも、そのあと、一度手術して治っていた斜視(視線の向きが左右で異なる病気)が再発してしまい、番組を降板しなきゃいけなくなったんです。

 また道が閉じてしまって「どうしようかな」と。ただ、その時、たまたまインスタグラムで、顔に大きいあざがある海外の女性が、あざに特殊メイクをしてハロウィンで人気者になっている写真を見たんです。そこで「私も斜視を生かして、なにか表現できないかな」と、左右非対称の左が機械で右が人間、という設定を思いついたんです。

──そういう方、インスタグラムで見たことがあります。

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斎藤 海外の方は結構いますよね。義足に装飾して、個性を出したり。でも、日本は隠そうとするから、なるべく本物に近づけようとするじゃないですか。でも隠したところでどうせ本物にはなれないなら、隠すんじゃなく前面に押し出してオンリーワンな表現方法を確立したほうがよくない?って。

「サイボーグYuki」誕生秘話

──左右非対称のスタイルを始めて、リアクションはいかがでしたか?

斎藤 まず、サイボーグの格好をして、いろんな大学の文化祭にお客さんとして行ったんです。学生さんが撮影してくれて、Twitterにアップしてバズったらもうけものだなと思って。もう当時は、バズった人に声がかかる時代になってきていたので、正攻法でオーディションを受けるよりも、確率が高いなと思ったんですよね。

 でも、やっぱり「変な奴が来た」みたいなリアクションでした。そりゃそうですよね。卒業生や在校生ならともかく、知らないおばちゃんが、サイボーグ衣装でやってくる(笑)。

 あと、サイボーグの腕に企業のロゴを貼って、アポなしでその企業を訪問して「PRモデルに使ってください!」と営業したりしました。

活動初期のサイボーグYuki(写真:斎藤ゆきえ)

──この突撃法は成功したんですか?

斎藤 結論からいうと失敗でした(笑)。ただ、ある大学教授の方に「写真を撮ってSNSに上げたほうが良いですよ」とアドバイスをもらったんです。「それはそうだな」と今度はハロウィンパーティーに行って、自撮りをバンバンしてFacebookに載せたんです。それがめちゃくちゃシェアされて。

 この投稿を、機械やロボットを作っているメーカーの偉い人が見てくれて「うちの会社が展示会でブースを出すから、PRモデルに来てくれないか」と言ってもらえたんです。