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手術中に医師から睨まれたり、些細なことで怒られたりする理由

――それほど、プレッシャーのかかる現場なのですね。

まお 手術中は、みんなピリピリしています。先生の指示通りに動けなかったり、反応が遅かったりすると怒鳴られることもよくありました。

――怖くはなかったですか?

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まお 最初は怖かったです。でも、少しのミスが命取りになるシビアな環境だと実感してからは、割り切れるようになりました。

 それに、手術中は些細なことで怒る先生も、手術のピークを超えたとたんに優しくなったりする。「今日の夕飯どうしよう」「新しく入った先生どんな人だった?」なんて雑談をしながら、残った作業をすることも多かったです。

――ちなみに、些細なこととはどんなことでしょうか。

まお たとえば「私が器械につけているオリジナルの呼び方が、看護師に通じなかった」と睨まれたり、「今日の気分に合うBGMが流れなかった」と怒られたりしましたね。

『手術室の中で働いています。オペ室看護師が見た生死の現場』(竹書房)より

「今日の私の気分に合ったBGMをかけて」と理不尽なお願いをされて…

――器械にオリジナルの呼び方をつけるとは、どういうことですか?

まお 一般的に呼ばれている名称とは違う、独自の呼び名をつける先生がいたんですよ。手術中もその名称で呼ぶように求めてくるから、私たちオペ看はどの器械のことなのか、一瞬分からなくなることがあるんです。それで器械を出すのが遅くなったり、違うものを出したりするとものすごく睨んでくる。

 その先生はこだわりが強い方で、ほかにも器械を並べる位置や順番にこだわったり、独自のマニュアルを作ったりしていて、看護師がそれに対応できないとあからさまに不機嫌になっていましたね。

――では、気分どおりのBGMがかからないと怒られる、とは?

まお ほとんどの先生が、音楽をかけながら手術をしているんです。ちなみに、私の勤めていた病院では、Mr.Childrenの曲をリクエストされることが多かったですね。曲名など具体的にリクエストしてくれるならいいのですが、「今日の私の気分に合ったBGMをかけて」など、ふわっとしたリクエストをしてきて、イメージと違ったら怒る……という方もいました。

――どれも理不尽な理由ですね……。