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まお でも、手術が成功するかどうかは先生の腕にかかっているから、先生が一番集中できる環境をつくることが、私たちオペ看の仕事でもあるんです。どんな些細なことに思えても、先生のリクエストには最大限応えるようにしています。

 それに先ほども話したように、手術中は怖くても、手術後は優しくなる先生も多いんですよ。

「寝ても手術の夢を見てうなされたり…」手術のプレッシャーが与えた私生活への影響

――手術中に怖い先生が多いのは、やはり手術がプレッシャーの大きい現場だからでしょうか?

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まお 手術のプレッシャーは、理由のひとつだと思いますね。ただ、手術室では優しいのに病棟だと怖い先生もいれば、手術中とか関係なくずっと怒っている先生もいます。

――常に機嫌の悪い先生もいるのですね。

まお 一緒に働く先生や看護師の悪口をずっと言い続けている先生がいました。8時間以上かかる手術のあいだ、同席していた先生やオペ看にネチネチ嫌味を言い続けていたときは、さすがに辛かったですね。

――それでも、先生が手術しやすいよう、少なくとも手術中は機嫌を取り続けなければいけないのは大変ですね……。先生だけでなく、看護師にとってもストレスやプレッシャーが大きい現場だと思いますが、まおさんはどのくらいで仕事に慣れることができたのでしょうか。

まお 3年ほど経ってから、ようやく「慣れてきた」と思えましたね。最初のうちは、不安や緊張で夜も眠れなかったり、寝ても手術の夢を見てうなされたりしていました。

『手術室の中で働いています。オペ室看護師が見た生死の現場』(竹書房)より

なぜ辛くても「オペ看」を続けられたのか?

――その辛い状況の中でも、まおさんがオペ看を続けられた理由はなんだったのでしょう。

まお できないことや分からないことをそのままにしたくなかったとか、先輩看護師たちが優しかったとか、理由はいくつかあります。その中でも特に、手術室の仕事が「チームプレー」だから、続けられたのかもしれません。

 病棟勤務の場合、患者さんのお世話は基本的に看護師1人で行います。先生に相談したり、先輩看護師に報告したりすることはありますが、1人で仕事をしている時間のほうが長いんです。