でも手術室の場合は、医師、看護師が集まって6~7人のチームを作り、手術の成功という同じゴールを目指して全員で患者さんの治療に当たります。たしかに仕事のプレッシャーは大きいけれど、すぐ隣に頼れる仲間が何人もいる。1人ではなく、チームで頑張っている一体感が私は好きでした。
あとは、手術が無事に終わったときの達成感もすごかった。私たちオペ看は、手術室では帽子とマスクを着用しています。手術前の少しの時間しか関わることのない患者さんからすると、誰が誰だかまったく見分けがつかないはず。それでも、終わった後に「ありがとう」と言ってもらえるのは嬉しいですね。
「もし何かあっても、全力で助けてくれる」手術室で働く人たちの“リアル”
――人の生死を間近に見る現場で、「命」に対する価値観は変わりましたか?
まお 「もし自分に何かあっても、手術室の人たちが全力で助けてくれる」と思うようになりましたね。命の危険に晒されるようなことがあっても、手術室では「あなたに生きていてほしい」と心から願う人達がチームを作って、全力で動き回ります。その事実を、いろんな人に知ってほしいです。
――最後に、『手術室の中で働いています。オペ室看護師が見た生死の現場』でどんなことを伝えたいか教えてください。
まお 手術室で働く看護師が何をしているかを知ってほしいです。世間一般のイメージは、医療ドラマに出てくるような「先生に言われたとおりに器械を渡すだけの人」だと思いますが、実際はそんな単純な仕事じゃありません。
でも、同じ看護師からも「オペ看って何しているの?」とよく聞かれるくらい、認知度が低いなと感じています。手術室はどんな場所なのか、そこで働く先生や看護師は何を思いながら、どんな仕事をしているのか。特にこれから手術を控えている方に知っていただけると、手術の不安を少し和らげることができるかもしれません。
また、オペ看の仕事はプレッシャーも大きいけれど、この仕事だからこそ得られる知識や経験、そしてやりがいがあります。このマンガがきっかけで、オペ看になりたい人や手術室に異動したい人が増えるといいな、と思っています。