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(5)50年連れ添っても分かり合えない夫婦でも──あいまいミィさん(女性)・72歳より

 中野さんの質問は、日々、私が主人との生活で悶々としている様に似ています。

 主人は「皆と同じように」や「決まり事だし」を嫌い、高校生の頃から先生と衝突してきた人です。その話を聴いている間は面白かったのですが、一緒に暮らすのは難儀です。自分の家だけなら兎も角、娘や息子が結婚し、相手先とのお付き合いとなると……。「行事ごと」、「盆、正月は実家へ」、「子供や孫に何かを残す」……そういう考えは、主人の頭にはないようです。自分で決めた事だけする。本人はそれで幸せなのかもしれません。でも、周りは火の粉を被るような事になる訳で。

 中野さんの質問への答えには、なっていないですね? でも、50年連れ添っても、分かり合えない夫婦でも、なんとか折り合いを見つけて暮らそうとしている事をお伝えしたかったのです。

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◆ほかにも以下のご回答をいただきました。

○われわれは矛盾を生きている──男性(年齢不明)

○地獄と化した原因は我々自身の無限大の夢、希望、欲望ではないか──ひろちゃんさん(男性)・58歳

○利己的上等! その希望があれば、そこが地獄であっても笑顔になれる自分が想像できるはず──街の書道家さん(男性)・66歳

○生きることの快楽と地獄の両方を知っているということは、良き友を得る才能があるということ──ズッ友さん(女性)・42歳

○なんとかなると言ってくれる仲間がいると救われる──むうむうさん(女性)・45歳

○ブラックホールの存在は人間として生まれてきた以上、当たり前のこと──ポールさん(男性)・51歳

○生まれてきちゃったからしょうがない。ガンバレ──ママリンさん(女性)・51歳

○中野さんが身に付けてきた脳科学で証明されている事を拠り所に──MACOTOさん・42歳

○「なぜと問う前に、まず生きてあることに感謝するのよ」と中3の私をたしなめた同級生──津童亮作 さん・ 71歳 

◆ご回答いただいた皆様へ 中野信子

 皆様からいただいたご回答はすべて拝読しております。そもそも答えのない問いでもあり、どのように考えたら良いかも書きづらい問題でもあったかと思います。それにもかかわらず、たくさんの方が言葉を尽くしてくださいましたこと、心からありがたくも思い、また温かくも感じております。少なからぬ人が、答えの無い問いに同じ気持ちで真摯に向き合ってくださる、このこと自体が大きな意味での答えでもあると受け止めております。ありがとうございました。

text:Atsuko Komine illustrations: Ayumi Itakura

なかののぶこ/1975年東京都生まれ。脳科学者。東日本国際大学特任教授。京都芸術大学客員教授。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。著書に『ペルソナ』『脳から見るミュージアム』(ともに講談社現代新書)、内田也哉子との共著『なんで家族を続けるの?』(文春新書)など。最新刊は兼近大樹との共著『笑いのある世界に生まれたということ』(講談社+α新書)。

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