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名古屋での書店回り最中に届いた受賞の報せ

(以下、取材会見での一問一答)
――編集の方への感謝をおっしゃっていましたけれども、受賞が決まった時編集の方とか受賞の喜びの分かち合いというか、どんなふうにお礼などをお伝えしたんでしょうか。

阿部 ちょっとこれは面白い話なんですけれども、先ほど好調な時には叱咤激励しみたいな感じで、鞭と飴(の使い分けが)大変上手な編集さんたちなんですけれども、まさかの受賞のお知らせをいただいた最中が出張中で、名古屋の書店回りをしている最中に(受賞の)電話がかかってきまして……しかもなぜ書店回りの日程に重なったかというと、本来だったら実は今日(3月5日)が書店の挨拶回りの日だったんですけれども、万が一受賞した場合、名古屋からここにはこれないだろうっていうことで日程をずらしたんですね。

 そうしたら、今度は逆に書店を回りながらサインを書き、皆さんにご挨拶をしている最中に電話がかかってくるっていう感じで、電話が鳴った瞬間にみんなてんやわんやだったんですけれども(笑)。私が「ありがとうございます」を言う前に、それを聞いていた編集さんと営業さんが、「うわー」っていう感じで喜びの声を上げて、拍手をしてくれて……もう本当に何でしょう、私よりも先に喜んでくれたっていうふうに思っていまして。

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第9回吉川英治文庫賞は2022年12月~2023年11月に「文庫でシリーズ5巻目以降」が刊行されている作品からノミネートされ、初候補となった今回は外伝『烏百花 白百合の章』(2023年5月刊)が対象だった。

 本当に今お世話になっている方たち1人1人に挨拶というか、お会いするたびに「ありがとうございます」と伝えているんですけれども、何か変な言い方ですけれど、ほぼほぼ身内みたいな感じになってしまっているので、もう「みんなにありがとう言わないとね」「それはともかく、書店回りを今は一生懸命頑張りましょう」みたいな感じだったので、そんな感じでしたね。すみません、これで回答になったでしょうか?

――阿部さんより先に編集の方がもう盛り上がってらっしゃっていた感じでしょうか。

阿部 そうなんです。もうなんか、私が「ありがとうございます」を言う前に、ちょうどスピーカーにした瞬間だったので聞こえてたらしくて、周囲が「うわー、ヤッター!」みたいな感じで、私的にはそれが嬉しかったですね。私が作家としてできることは小説を書くことだけなので、それがどういうふうに評価されるというのは私自身はコントロールできないものです。こうやって評価していただけたっていうのは、私のことを育ててくれた人たちへの評価だと思っているので、私はその点が大変嬉しいです。