右腕投手のマックス・シャーザーが2015年に交わした7年2億1000万ドル(約304億5000万円)の契約で、半分をのちに受け取るという条項が入っていたのだが、これが野球史上で最大の後払い条項だった。
10年間は毎年わずか約2億9000万円だけを受け取ることに…
大谷がいくらを後払い分にまわしたのかは誰も知らなかったが、2日後になんと年俸の97%を後払いにまわすことに大谷が合意していたことが判明し、大きな衝撃をもたらした。
つまり、今後10年間は毎年わずか200万ドル(約2億9000万円)だけを受け取り、残りの6億8000万ドル(約986億円)は10年後から毎年払われるようになる、しかも、無利子だというのだ。
この無利子、後払いにより、MLBは現時点での大谷の市場価格を10年間で約4億6000万ドル(約667億円)と見積もった。仮にそれで後払いがなかったとしても、大谷がこの金額を受け取れば、史上最高額の選手になることはかわりがない。
後払いの発想は、大谷自身から発案されたものだという。ドジャースには彼を獲得したあとも、さらに補強できるだけの資金を残しておきたかったからだという。彼はこの枠組みを、最終候補に残ったすべての球団に対して提案していたという。
ジャイアンツとブルージェイズはこの案に乗り気だったが、エンゼルスは、そうではなかったようだ。
大谷が自ら後払い案を出した“2つの理由”
フリードマンも、この後払い案が大谷側から出されたものであることを認めた。
「私にはそんなことを提案できる勇気なんかないよ。ネズが提案してきて詳細を詰めていったが、交渉の間ずっと、この考え方は一貫していたよ」
ほかの選手だと考えにくい契約だが、ある意味、大谷にとっては十分にありえるやり方といえた。
1つ目に、大谷は宣伝広告出演で巨額のお金を稼いでいる──一部の推計によると、年間5000万ドル(約72億5000万円)に達するともいう──から、彼は選手としての年俸でそれほど大金を受け取る必要がない。
2つ目に、彼は企業スポンサー契約と、グッズの売り上げや入場券の売り上げでチームに多大な収益をもたらしているので、チームは彼にその売り上げを還元することができるし、しかも、支払いを伸ばせるのだからなおさらだ。