今シーズンから新天地のロサンゼルス・ドジャースでプレーする大谷翔平(29)。MLB史上最高額となる10年総額7億ドル(日本円で約1015億円)の“規格外契約”に世界中が度肝を抜かれた。いったい、この契約の水面下では、どんな交渉が行われていたのだろうか?
ここでは、エンゼルスの番記者、ジェフ・フレッチャー氏の新著『SHOーTIME2.0 大谷翔平 世界一への挑戦』(訳=タカ大丸、徳間書店)から一部を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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世界を驚かせた契約条件
「野球界に関わっているすべての方々とファンの皆様、決断に至るまで長い時間がかかったことをお詫び申し上げます。私は次のチームとしてドジャースを選びました」
大谷が投稿したポストには、そんなメッセージと合わせて、ドジャーブルーのロゴも貼られていた。
そして、6年間支えてくれたエンゼルスとそのファンに感謝の言葉を述べ、今後の残りの野球人生のすべてを、ドジャースおよび野球界の発展のために捧げる、と誓いの言葉を続けた。
彼の最終目的地自体はそれほど驚きではなかったものの──つい1日前には全世界が大いなる誤解をしていたが──大谷の新契約に関してもっとも驚かされる事実が、SNSでの発表から間もなくして出された。
バレロが公式声明で、今回の契約は、「10年で7億ドル(約1015億円)」と明らかにしたのだ。
これは、これまでの記録を40%近く大幅に上回る金額だった。
「前例がない」金額以上に驚かされた“ありえない契約条件”
具体的には、マイク・トラウトの12年4億2650万ドル(約618億4250万円)の契約だ。合計金額でいうと、スポーツ選手史上最高額であり、4年6億7400万ドル(977億3000万円)の契約を結んだサッカー選手のリオネル・メッシをはるかに上回ったことになる。
NFLのカンザスシティ・チーフスのスター選手で、クオーターバックを務めるパトリック・マホームズの契約は10年4億5000万ドル(約652億5000万円)だった。
しかし、本当に驚かされたのはここからだった。大谷の契約には「前例がない」後払い条項があるという話が一気に広まった。つまり、大谷は契約期間中は年俸の大部分を受け取ることがなく、かわりに契約終了後に全額が支払われるというのだ。