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そして生き延びた一族の後継者ポールとその母ジェシカが、アラキスの先住民族フレメンに導かれ、彼らの暮らす砂漠の群居洞(シエチ)にたどり着く…というのが、前作の物語を引き継ぐ『デューン 砂の惑星PART2』のオープニングだ。
本作の主な舞台はアラキスである。
――惑星アラキスは陽の低いときがとても美しい。
前作でそう形容されたように、見渡すかぎり砂一面の世界では、砂の稜線をときに転がるようにして移動する太陽が絶対的な存在感を放っている。
砂漠を彩るその光は、前作でも印象的だったが、本作ではさらに強調され、ほとんどビジュアル面の中心をなすかのような役回りだ。
白、黄金、琥珀、薄墨…時々刻々と色合いを変える光により、砂の惑星はその都度まるで異なる相貌を見せる。日中のまばゆい陽光は、砂と空の二層からなる空間に陰影を刻み、複雑なコントラストを生む。人物を逆光のなかにとらえたショットはことに鮮やかだ。
自然光の効果を最大限引き出した撮影監督
このような光を作りだした最大の功労者が、撮影監督のグレイグ・フレイザーである。
オーストラリア出身のフレイザーは、ジェーン・カンピオン監督による恋愛劇『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』で脚光を浴び、その後マット・リーヴス(『モールス』『THE BATMAN -ザ・バットマン-』)、ギャレス・エドワーズ(『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『ザ・クリエイター/創造者』)といった監督とチームを組んだ。
もとは大作主義でなく、作家性の強い作品を原点とする彼の大きな持ち味は、自然光を生かした撮影にある。