集英社の「週刊少年ジャンプ」で「ドラゴンボール」の連載が始まったのは1984年のこと。バトル漫画として当時の少年達の心を鷲掴みにした。現在までの累計発行部数は約2億6000万部。そのヒットは日本だけに留まらず、世界的に読まれ続ける日本を代表する漫画作品だ。
近年では、「ドラゴンボール」関連のゲーム作品の売上が急増している。
「2015年にリリースされたスマホゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』は世界的に大ヒット。総ダウンロード数は7600万以上、世界での累計売上は4800億円を超えています」(経済紙記者)
2019年の米紙「サンフランシスコ・クロニクル」の試算によると、漫画・映像・ゲームなどドラゴンボールブランドがこれまでに叩き出した総売上は230億ドル(約3兆3994億円:現時点でのレート)に上るといわれている。
業界を震撼させた“独立騒動”
そんな巨大な“ドラゴンボール利権”をめぐって「週刊文春」は、昨年8月31日配信の記事で、鳥山氏と関係の深い集英社の編集者、伊能昭夫(いよく・あきお)氏が部下2人を引き連れて独立することを報じた(『ドラゴンボール』“3兆円利権”をめぐり集英社VS鳥山明担当者のドッカンバトル勃発 部下2人を引き連れて8月末に独立」)。
伊能氏が設立した会社の名前は「カプセルコーポレーション・トーキョー」。カプセルコーポレーションとは「ドラゴンボール」の主要キャラクター・ブルマの父が設立した企業名。ドラゴンボールファンならば誰もが知る名前である。
今回の訃報にあたっても、カプセル社は、鳥山氏の妻が代表を務める会社「株式会社バード・スタジオ」と連名でコメントを発表していた。
業界を震撼させた“独立騒動”を報じるにあたり、「週刊文春」記者は、まだ残暑が厳しい昨年8月末、鳥山氏に見解を聞くべく、直撃取材をしていた。
自宅前で待っていると、自家用車を運転して、鳥山氏は帰ってきた。Tシャツにキャップ、半ズボンのラフな姿。世界的に著名な漫画家でありながら、威圧感を感じさせず、庶民的な雰囲気が感じられた。
記者が「鳥山先生!」と声をかけると、「はい!」という快活な返事。巨匠とは思えぬ気さくさで取材に対応してくれた。