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7年連続で「1号に2本掲載」をやっていたことに

「1号に2話掲載」という離れ業も、じつは『DRAGON BALL』連載時にたびたび行われている。1990年5号には「其之二百五十五 孫悟飯逆上!!」と「其之二百五十六 死を呼ぶ追跡者!!」、1991年3・4号には「其之三百五 フリーザか!ベジータか!」と「其之三百六 孫悟空…復活!!」、1992年21・22号には「其之三百七十一 動き始めた16号!」と「其之三百七十二 決死の16号パワー!!」がそれに該当し、しかもいずれも該当号では巻頭カラーも務めている。

2024年秋の公開が予定されている完全新作『ドラゴンボールDAIMA』

 あるいは「『DRAGON BALL』+読み切り作品」という2本立てのケースもある。1986年49号『Mr.ホー』、1987年38号『剣之介さま』、1988年5号『SONCHOH』、1988年38号『豆次郎くん』、1989年13号『空丸くん日本晴れ』、1992年36・37号『TRUNKS THE STORY -たったひとりの戦士-』の各作品は、『DRAGON BALL』の通常回と同時に「少年ジャンプ」に掲載された。

 なかでも1992年36・37号は、本編は巻頭カラーで「其之三百八十六 父を超えた超トランクス!」が載り、トランクスをフィーチャーした読み切りも掲載されたので、ファンはおおいに喜んだ。

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 つまり、1986年から1992年まで、7年連続で「1号に2本掲載」をやっていたことになる。しかも1992年に関しては2回も。このほかにも「少年ジャンプ増刊号」や「フレッシュジャンプ」、画集などへの寄稿もある。

 こうした連載以外の読み切り作品を読むと、そのどれもが唯一無二のオリジナリティあふれる世界観を有しており、なによりも作者である鳥山明本人が描くことが大好きだったと思わされる。

 さらに、マンガ作品だけでなく、劇場用アニメ映画の監修、『ドラゴンクエスト』シリーズや『クロノ・トリガー』などゲームのキャラクターデザインなども同時並行で行っていたのだから、80年代から90年代にかけては激務続きだったと想像するのは難しくない。

 近年の鳥山明は、『DRAGON BALL』シリーズの劇場用アニメ作品でみずから脚本を担当し、新しいストーリーテリングの可能性を見せていた。あるいは2023年に劇場公開された『SAND LAND』では、比類なきデザイン性を誇る鳥山絵を3DCGで再現することが現実のものとなり、映像分野においてますますの鳥山ワールドの広がりを予感させていた。その矢先の訃報だっただけに、なおさら悔やまれてならない。

鳥山氏も新作に向けて「気合いが入ってる」と話していた

 鳥山作品は、「この世はでっかい宝島」だと感じさせるセンス・オブ・ワンダーにあふれている。残された多くの作品群に触れれば、きっとそこに新しい発見があるはずだ。