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鳥山明が7年連続で成し遂げた“ある偉業”とは? 「マンガを描くことが大好きだった」ことを示す驚きの数字

鳥山明が7年連続で成し遂げた“ある偉業”とは? 「マンガを描くことが大好きだった」ことを示す驚きの数字

2024/03/13

genre : エンタメ, 社会

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 やがて1986年2月19日に『Dr.スランプ アラレちゃん』の放映が終了し、翌週の26日からTVアニメ『DRAGON BALL』の放映が開始。『DRAGON BALL』人気はいよいよ不動のものとなる。

 一般的に『DRAGON BALL』の“テコ入れ”は成功例として語られることが多い。その際に、鳥山明と担当編集の鳥嶋和彦が意図的に『キン肉マン』のファン(=バトルマンガ好き)を奪い取りに行ったかどうかは定かではないが、バトルマンガの“政権交代”が行われたのは事実である。

1号で2話掲載という離れ業をやってのけたことも

 また、鳥山明の著作群を追うと、かなりの速筆であったことがうかがえる。かつて「少年ジャンプ」では、愛読者賞というイベントが年に一度開催されていた。これは、読者人気の高い10人の作家に読み切り作品を描いてもらい、それをアンケート形式で順位付けするという企画だ。その間に週刊連載を休めるわけではなく、マンガ家にはかなりの負担がかかるものであった。

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 鳥山明は1981年から3年連続で愛読者賞に選出され、『POLA&ROID』『MAD MATIC』『CHOBIT』を執筆。1位、2位、3位と、アンケート人気でも結果を残している。

 なお、『Dr.スランプ』連載中の約4年半のあいだには、週刊連載をするかたわら、『ESCAPE』『PINK』『CHOBIT2』『騎竜少年 其之壱』『騎竜少年 其之弐』『トンプー大冒険』といった読み切り作品を描いている。このうち『騎龍少年』シリーズは、のちに『DRAGON BALL』の原型となる。これらの読み切り作品は、短編集『鳥山明◯作劇場』(VOL.1〜3)で読むことができる。

 ちなみに、1983年32号の巻頭特集は「見ちゃおう!食べちゃおう!!シーラカンス」と題し、鳥山明がシーラカンスを実食するという内容であった。この記事を執筆したのは、当時ライターでもあった堀井雄二である。のちにゲームデザイナーとして『ドラゴンクエスト』シリーズを生み出す堀井と、そのキャラクターデザインを手掛ける鳥山が、「少年ジャンプ」の歴史に残る異色記事を担当していたのだ。

2022年12月の「週刊文春エンタ+」では鳥嶋和彦氏がインタビューに登場している

 担当編集だった鳥嶋和彦は、「週刊文春エンタ+」のインタビュー記事で「堀井さんは取材能力があって文章もうまかったんだよ。それで、巻頭の特集記事でコミケを取材(83年40号)したり、鳥山明さんとシーラカンスを食べにいったり(83年32号)したんです」と述懐している。

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