「別に珍しくないですよ。アイドルとかにハマって金欠の友達同士で働ける店を紹介しあってるんで」

 高校時代から派遣型のJKリフレで働くアヤ(18歳・仮名)さん。彼女が普通のバイトではなく「JKビジネス」を選んだ理由とは……。ライターの佐々木チワワ氏による新刊『ホスト!立ちんぼ!トー横! オーバードーズな人たち ~慶應女子大生が歌舞伎町で暮らした700日間』(講談社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

高校生の頃からJKリフレで働く少女も……。その理由とは? 写真はイメージ ©getty

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スカウトが活発する「卒業シーズンの3月」

 卒業シーズンの3月は、歌舞伎町の風俗業界がにわかに色めき立つ時期である。高校卒業と同時に、即風俗で働きに出る女の子と、彼女たちを狙うスカウトの動きが活発化するのだ。

 まともな風俗店では、たとえ18歳を過ぎていても高校生は雇わない。しかし卒業したとなれば話は別で、卒業ホヤホヤの女の子を採用し、ホンモノの「現役JK」として働かせる店も存在する。「業界未経験の新人」「18歳の現役JK」といった肩書の破壊力は抜群で、男性客の予約は殺到。卒業したての女の子たちにとっても、またとない稼ぎ時なのだという。

 昨年の3月に都内の高校を卒業した後、すぐに歌舞伎町のデリヘルで働き始めたユマ(仮名・19)が言う。

「若いってだけで指名されるから接客はテキトーで大丈夫(笑)。私は学園系を売りにした店に入ったんですけど、塩対応しても客は『かわいい、かわいい』って言ってくれました。若いってだけでウブだとでも思ってるんですかね」

 高校卒業後すぐに風俗店で働く女の子たちの事情はさまざまだが、ユマの場合は、歌舞伎町のボーイズバーにハマったのがきっかけだった。

「もともとメンチカ(男性〈メンズ〉地下アイドル)が好きで、推しのアイドルとつながることができて同棲してたんです。で、別れてどうしよっかなーってときに歌舞伎町のボーイズバーにハマった。ボーイズバーだと年齢確認がない店も多いから。ボーイズバーの男の子の誕生日に(シャンパン)タワーしたくて風俗を始めました。

 これまでは若いってだけで稼げたけど、この春から年下の子も業界に入ってくるから怖いですね。18歳と19歳じゃ全然市場価値が違うんです。競争の激しい歌舞伎町だと稼げなくなりそうなんで、最近、川崎のソープに移りました」