「タイムループ」に「仇討ち」。それぞれは古典的なテーマでありながら、その2つをかけあわせることで異色作となった『ペナルティループ』。恋人を殺され復讐を繰り返す主人公・岩森淳を、若葉竜也が演じた。
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自分との戦いにおいてブレてしまったら終わり
若葉 今作のオファーをいただいた2021年は、コロナの感染者数がまた増えはじめた時期でした。台本を読んで、飽和状態だった日本映画に対して何かを壊そうとしているような、熱い衝動を感じました。ちょうど僕自身も、言葉にできない怒りというか、破壊衝動のようなものを抱えていた時だったので、手を差し伸べてもらったような気がして。これは自分がやるべきだと思いました。
──映画の主演は、本作が今泉力哉監督の『街の上で』(21年)に次ぐ2作目です。主演映画はどのように選んでいるのですか?
若葉 僕は自分が「面白い」と人に宣伝したくなる映画にしか参加しないと決めているんです。
本作の前に、何本か主演映画のオファーをいただいたのですが、自分という俳優を客観視した時に出演していそうな映画ばかりで、想像のつく展開だと思ってお断りしました。
『ペナルティループ』は、自分が想像もつかないところへ導いてくれそうな予感がしたので、わりと即答で「これやります」とお返事しました。
僕は格闘技をよく見るので、それになぞらえて考えがちなのかもしれません。俳優としていつも「負けられない」と思っていますし、ほかの俳優との比較ではなく、自分との戦いにおいてブレてしまったら終わりだと言い聞かせていて、格闘技の試合と相通じるところがあるように感じています。自分の天井と底を悟られた時点で負けな気がするので。
──「底が見える」というのは、格闘家が一度でも負けてしまうと攻略法が見つかって、次々負ける…みたいなイメージでしょうか。では、「ブレることの恐怖」とは?
若葉 たとえば、僕がバラエティ番組に出て、本当はそんなにおいしくないのに「ここのお店、めっちゃおいしい! また絶対来ます」みたいなコメントを言ったら本当においしいと思った時、嘘になるじゃないですか。そういうことです(笑)。