文春オンライン

「映画を観に来てくださるお客さまに俳優ができる精一杯の誠意だと…」若葉竜也が主演2作目でも追求したもの

映画『ペナルティループ』

2024/03/17

source : 週刊文春CINEMA 2024春号

genre : エンタメ, 映画

note

 これは使えると思って、序盤で岩森と溝口が会話するシーンはそのリズムの合わなさを維持し、ループ回数を重ねるごとに、密かに僕が伊勢谷さんに歩幅や呼吸を合わせたり立ち位置を近づけたりして、距離感を縮めていきました。撮影後半になると、伊勢谷さんも自由にアイデアを出してくれるようになって、それが現場にいい空気をもたらしていました。

──そういうコントロールであの間合いが出来ていたんですね(笑)。

若葉 今作はこれまでにないジャンルで、しかも僕が想像していたより尖った映画にできたので、やってよかったと思いました。僕の大きな分岐点になると思います。

ADVERTISEMENT

 ただ、次の作品選びのハードルは確実に上がりました。そこは課題ですね(笑)。

©杉山拓也/文藝春秋

わかば りゅうや 1989年東京都生まれ。2016年映画『葛城事件』で第8回TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で、数多くの作品に出演。若きバイプレーヤーとして評価を高める。NHK連続テレビ小説『おちょやん』で朝ドラに初出演し注目を集める。近作は『愛にイナズマ』『市子』(共に23年)。

ペナルティループ

INTRODUCTION
CMプランナー、クリエイティブ・ディレクターとして数々のCM、MVを生み出してきた荒木伸二監督の2作目。デビュー作『人数の町』(20年)に続き、監督・脚本を自身が手がけた。SF感を出すため、主人公の岩森淳が勤務する工場内部は近未来的なイメージがする水耕栽培工場で撮影されたという。また、岩森に復讐される殺人犯には、3年ぶりに俳優業に復帰した伊勢谷友介を起用。若葉とのケミストリーで新たな魅力を生み出している。

STORY
愛する恋人を殺された岩森淳は、何度でも復讐ができる「ペナルティループ」を利用し、恋人を殺めた殺人犯・溝口登を殺害する6月6日を繰り返す。なぜ、恋人は殺されたのか。「ペナルティループ」とはどんなプログラムなのか。答えがわからないまま、小刀で、包丁で、拳銃で溝口の命を奪い続ける岩森。やがて殺人犯・溝口との間に奇妙な友情のようなものが生まれ──。

STAFF & CAST
監督・脚本:荒木伸二/出演:若葉竜也、伊勢谷友介、山下リオ、ジン・デヨン/2024年/日本/99分/配給:キノフィルムズ/3月22日公開

「映画を観に来てくださるお客さまに俳優ができる精一杯の誠意だと…」若葉竜也が主演2作目でも追求したもの

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春CINEMAをフォロー