2020年、國學院大學神道文化学部を受験し、合格を果たした歌手の相川七瀬さん(49)。今年3月に大学を卒業し、今春から國學院大學の大学院に進学する。歌手として多忙な日々を送る彼女が、なぜ40代で大学に入り、神道を学ぶことになったのか――。 

 相川さんに、大学受験を決意した経緯やキャンパスライフの様子、大学院に進学する理由などを聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む

歌手の相川七瀬さん ©志水隆/文藝春秋

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國學院大學で神道を学びたいと考えた理由

――2018年、高卒認定試験を受けて合格します。これは、どういうことがキッカケになったのですか。

相川七瀬さん(以下、相川) ひとつは、長男の大学受験、長女の小学校受験とタイミングが重なったことが大きかったですね。子どもたちに「勉強しなさい」と言う時、私自身も勉強したほうが説得力がありますし、子どもとの関係性も悪くならないかなと思ったんです。もうひとつは、私自身、勉強したいと思うことがあったからです。

――何か学びたいことがあったのですか?

相川 ツアーで長崎に行った際、対馬など3地域に「赤米神事」という伝統行事があると知ったんです。神事に欠かせない赤米の生産者が、高齢化によって後継者不足に陥っていると聞いて、1000年以上もの歴史がある伝統行事がなくなってしまうのはすごく残念だと思いました。

 赤い稲穂が実る神田は本当に美しくて、赤米文化を残したいと思って親善大使になり、「赤米サミット」(赤米を通じた都市交流事業)を立ち上げて活動してきました。でも、会議では過去の反省ばかりで未来的な話が少なくて。

 それで、赤米神事を守り、どうやって発展させていくのか考えるために、祭祀を含めて勉強をしたいという思いが強くなっていったんです。どうせやるなら中途半端に学ぶのではなく、大学で学びたいと考えたのが、高卒認定試験を受ける大きな動機になりました。

――勉強は、かなりハードだったのでしょうか。

相川 高校を中退して以来の勉強で、学力はないし、勉強習慣もない(苦笑)。ネットで調べて、早稲田大学の学生さんに家庭教師をしてもらって勉強しました。

 何が大変かっていうと、私が何もわからないので、「この数式を覚えていれば解けますよ」と言われても、なぜこの数式だと解けるのか、そこから教えてもらわないといけない感じでした。

 でも彼は、言葉を尽くして説明してくれて、私にもわかるように丁寧に教えてくれたので、本当にありがたかった。もう社会人だと思いますが、きっと彼は立派になっていると思います(笑)。