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同業者として素直に喜べない気持ちは「まったくないですね」

──アカデミー賞の話は、ご夫婦で話題にされていたのですか?

佐藤 『ゴジラ-1.0』の公開前は、本人はアカデミー賞なんて考えていなかったと思います。ノミネートされるかどうかというときも、不安がってましたけど、私は「されるし、とるよ」と言い続けていました。いろんな状況を見ると、絶対受賞すると思っていたので、「心配しなくていいよ」と話していました。

 何故か、「(山崎監督がオスカーを)とる」というのがわかったんですよね。それだけ確信があったからこそ、発表の瞬間に寝ていた、というのもあります(笑)。

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──すごい……。でも、おめでたくてうれしい反面、同じ映画監督としては素直に喜べない気持ちもありますか?

佐藤 それはまったくないですね。

 もし『陰陽師0』を誰か別の監督が撮ったら、すごく嫉妬したと思いますけど、『ゴジラ-1.0』は私の作品とはまったく関係がないので、ただ「よかったね」と思うだけです。

 とくにアカデミー賞の視覚効果賞は、VFXに携わる者ならとりたい賞だと思うので、彼が受賞できて本当によかったなと思います。

©細田忠/文藝春秋

 夫は中学生くらいから、映画監督になりたいと思っていたですけど、私はそこまで映画にこだわっていたわけではなく、最初は漫画家を目指していました。でも小学校6年生のとき雑誌に投稿しても全然賞がとれなくて…。だから漫画家はバッサリ諦めて、そこからは、小説を書いたり、イラストを描いたりしていました。

 結局、私は何か「世界」を作りたかったんです。それは別に漫画でもよかったし、小説でもよかった。でも一番リアルな「世界」っぽいのが映画だなと思ったので、最終的には映画の世界に入りました。

どんどんNGを出すと「こんなに辛くて苦労するなら、俺は監督になる!」

──最初は「白組(山崎貴監督が所属する高いVFX技術を持つ映像制作プロダクション)」でアルバイトをされていたそうですが、そこで山崎監督と知り合ったのですか?