2024年2月29日、東京・紀尾井ホールにて開催された『billboard classics ―石田組から鈴木愛理への挑戦状―』。今もっとも注目を集める気鋭のヴァイオリニスト・石田泰尚が率いる弦楽合奏団「石田組」と、ハロプロアイドルとして活躍後にソロデビューし、武道館公演を二度果たした歌手・鈴木愛理のコラボコンサートだ。
3月21日発売の「週刊文春」カラーグラビアと「週刊文春 電子版」では、本公演の写真とレポートを掲載。チケット即完売、拍手万雷のスペシャルなプログラムを誌上再演している。
今回は、公演の前日に行われたリハーサルでのインタビューを特別に公開。互いに惚れ込んだ”音楽家としての才”や、石田組は結成10周年、鈴木は30歳を迎えるにあたっての展望を、熱く、時にはにかみながら語ってくれた。(全2回の1回目/後編を読む)
取材・構成 秦野邦彦、週刊文春編集部
撮影 杉山拓也
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あまりの緊張に「夢の中まで曲が流れてきて…」
——通しでのリハーサル、おつかれさまでした。本日が初の音合わせと伺いましたが、想定より1時間半も早く終わる順調ぶりでスタッフの皆さんも驚いていました。とても息が合った音色でしたが、お二人の実感はいかがでしょうか?
鈴木 本当にもう、初めてのことだらけで! ふだんのライブではバンドとやっているので、こうして弦楽の音に包まれて歌うのも初ですし、クラシックホールというこんなに声が響く場所に立つこと自体も初めて。マイクの音量調節ひとつとっても、いつもとは全然違いました。
——音のバランスを細かく確認していらっしゃいましたね。しかし初めてとは思えない、堂々たる歌声でした。
鈴木 いえいえ、もう横にも後ろにも大尊敬している方々がいらっしゃるので……。本当に私、今日を迎えるまで緊張して眠れなかったんです。
石田 え、そうなんですか?
鈴木 はい……。これも初挑戦なのですが、今回披露する『Beauty and The Beast』(『美女と野獣』より)は全編英語の歌詞なんです。うつらうつらしても夢の中でその曲が流れてきて、「わぁっ、練習しなきゃ!」と飛び起きていました。もう本当に、ドキドキしながらリハに臨んで。
——豊かな物語を感じる、素晴らしい歌声でした。“美女”パートは鈴木さんが歌い、”野獣”パートは石田さんがヴァイオリンで奏でるという贅沢なデュエットですね。演奏中、鈴木さんが石田さんに熱いまなざしを送っていたのも印象的でした。
鈴木 目が合いそうなところを探りながら(笑)。想像以上にヴァイオリンの音色がとても素敵で、本番が楽しみになりました。