背景にある女性の社会進出
さらに、『Eye Love You』からは現代における女性の社会進出という点も見えてくる。
『リッチマン、プアウーマン』はそのタイトルの通り、就職難にあえぐ女性と億万長者の男性が出会い、お互いの人生が変わっていく物語だったが、平成にはこうした「シンデレラストーリー」設定のフィクションがいくつも生まれていたように思う。
『Eye Love You』ではこの構図が「男女逆転」という大きな変化をしているわけだが、「若くして社長になった女性」ということがとりわけドラマチックに扱われるわけでもなく、あくまで主人公の設定のひとつとして、ごく自然に物語に盛り込まれている。こう考えると、「時代はたしかに変わっているんだな」とポジティブな気持ちになってくる。
さらに、仕事に熱心だから恋愛できないとか、逆に恋愛に現を抜かして仕事がおろそかになるとか、侑里より年下のテオに対して「自分は不釣り合いではないか」と卑屈になるとか、そういった態度はほとんど描かれない。ただただ純粋に、自分のテレパスという特性や仕事、慣れない恋愛にもまっすぐに向き合う彼女の素直さに胸打たれるのだ。
いつの時代も、信頼できるパートナーに囲まれながら生き生きと仕事をし、楽しく恋をしている描写は、人々の心を掴む。ドラマで胸をときめかせ、現実にはありえないようなファンタジー設定に笑いながら、それでも夢を見ることができる。そんなドラマを見ると、明日も仕事や家事をがんばろうと思わされる。
『リッチマン、プアウーマン』や『Eye Love You』のように、仕事をする人々の恋愛ドラマの傑作がこれからも誕生することを、一視聴者としては楽しみにしている。まっすぐで純粋な侑里たちの恋は、どこへ行きつくのだろう? 最終回を楽しみに待ちたい。
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