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太る薬、骨が弱くなる薬……こんな薬に気をつけろ

医療の常識を疑え #7――薬の新常識

2018/11/05

インスリン注射をしている人は太りやすくなる

 生活習慣病では、糖尿病の治療を受けている人も多い。だが、糖尿病の薬で太ることがあるのはご存知だろうか。とくに太りやすいのが、膵臓のインスリン分泌を助けるSU薬(スルホニル尿素薬)や、インスリンの効きをよくするチアゾリジン薬などだ。また、インスリンの注射をしている人も太りやすくなる。前出の野村医師が解説する。

 

「糖尿病は血糖を細胞に取り込めない病気なので、太るのは薬が効いて、糖を利用できている証拠と言えます。したがって、すぐに悪影響があるわけではありません。しかし、血糖を利用した結果太るのはエネルギーの摂り過ぎと考えられますので、食生活を見直す必要はあるでしょう」

 SU薬には膵臓が疲弊して、インスリンが早く出なくなるデメリットがある。また、高齢者では血糖値が下がりすぎて、かえって危険な低血糖を起こすリスクもある。そこで近年は、昔からある安価な「メトホルミン」という薬が見直され、よく使われるようになった。腎機能や肝機能が悪い人には使えないこともあるが、実はメトホルミンには、糖尿病患者の寿命をのばすという研究結果もある

「摂取カロリーを制限すると長寿になるという動物レベルの研究がありますが、メトホルミンの作用を分子レベルで見ると、カロリー制限に近い働きもあります。また、がんによる死亡のリスクを低下させるかもしれないという研究結果もあります。ただし、糖尿病の治療は、運動と食事療法が優先的に推奨されます」(徳田医師)

 過度な期待は禁物だが、安くても価値の高い薬であるのは間違いない。糖尿病で別の薬を飲んでいる人は、メトホルミンを処方してもらえないか、主治医に相談してみるといいだろう。

(初出『週刊文春』2017年4月6日号)