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「ドラァグクイーンを仕事だと思っていない人がいる」ノーギャラなのに出演依頼されたことも…フランス在住・日本人ドラァグクイーンが教えてくれた「差別」よりも“困ったこと”

マダムワサビインタビュー #1

2024/04/07

genre : ライフ, 社会

note

ワサビ 偏見はそこまで感じたことはないですね。一度友だちと女装をしてタクシーを拾ったら、アラブ系のタクシードライバーさんが私たちを見るなり、窓を閉めて走り去ってしまったことがありました。でもそれは女装が嫌だったのか、私がアジア人だったからなのか、よくわかりませんけど……。女装をしていても、日本よりは人目が気にならないと思います。

 偏見というわけではないのですが、困ってしまうのがドラァグクイーンを仕事だと思っていない人がいること。ノーギャラや超格安でイベントに出演してほしいという依頼があるんです。衣装代もメイク代もかかるし、衣装を準備するのだって大変。

 化粧も2時間ほどかかりますし、本番前の衣装のスチームアイロンなど全部一人でやっているのに、これしかいただけないなんて……ということもあります。日本でもミュージシャン志望の若手に対して、そんなことが往々にしてあると思いますが、それと同じですね。

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「有名じゃないとお金にならない」のはどの国も一緒

――フランスはアーティストに優しい国だと思っていたので、それは意外ですね。

ワサビ 小規模なコミュニティーからの依頼だったらそれでもお引き受けしていますが、企業からの依頼でもそういうことがあります。パフォーマーは有名じゃないとお金にならないというのはきっとどの国でも一緒なんでしょうね。

「ドラァグクイーンを仕事だと思っていない人がいる」ノーギャラなのに出演依頼されたことも…フランス在住・日本人ドラァグクイーンが教えてくれた「差別」よりも“困ったこと”

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