新宿二丁目のネオン街に現れた赤いドレスに身を包んだ“美女”。しかし近づくにつれて視線の角度は上がっていき、隣に来た時には2メートルを超える彼女を完全に見上げていた。アニメかゲームの世界から飛び出てきたような存在感に、道行く人は振り返らずにはいられない。

 女性らしさを誇張した濃いメイクに派手な衣装で見る人を盛り上げるドラァグクイーン。近年は映画や演劇のテーマになることも増え、『キンキーブーツ』では三浦春馬や城田優が真っ赤なドレスに身を包んだ姿を披露している。

 そんな注目度が上がるドラァグの世界の中で、2メートルに迫る身長と現実離れした美しさで頭角を表しているのがセレスティア・グロウンさん(27)。

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 平日は会社員、週末はドラァグクイーンという二重生活をしてメディアにも多く出演しているが、まだ実の父親や職場には自身が「セレスティア・グロウン」であることは伝えていないという。滋賀県で育った長身の男子は、どんな人生を経て現在の姿にたどり着いたのか。(全3回のうちの1回)

セレスティア・グロウンさん ©文藝春秋 撮影・鈴木七絵

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「ちょうど健康診断の結果が返ってきたところで」

――見上げるばかりの美しさですね。SNSのプロフィールには“2メートル級の女装”と書かれていますが、実際の身長はどれくらいなのですか?

セレスティア ちょうど健康診断の結果が返ってきたところで、27歳にして2cm伸びて196cmになっていました(笑)。今日のヒールは約20cmなので、だいたい2メートル16cmくらいですね。

――衣装も素敵ですが、サイズ選びは大変そうです。やはり特注になるのですか?

セレスティア この青いドレスは特注で、氷川きよしさんや浜崎あゆみさんの衣装デザイナーもしている齋藤ヒロスミさんに作っていただきました。でも普段ショーで着ているドレスのほとんどは海外のサイトで買った既製品です。原宿のブティック竹の子で買ったりもします。さすがに少し短かったり、長さを揃えると太かったりはしますけどね。去年数えた時は40着くらいだったので今はもう少し増えていると思います。

 

――ドラァグクイーンというと、マツコ・デラックスさんやナジャ・グランディーバさんのような「毒舌で派手」な姿を想像するのですが、一方でセレスティアさんは「美しい」という要素が多い印象を受けます。