ヒールを合わせて時に2m20cmに迫る長身と現実離れした美しさで人々を魅了するドラァグクイーンのセレスティア・グロウンさん(27)。

 大学生の時にゲイとして生きることを決意し、母親にもカミングアウト。「女の子になりたい気持ちは全くない」といい、小さい頃は女装に対してもネガティブだったセレスティアさんが、ドラァグクイーンとして活動するようになったのは“ある人”との出会いがきっかけだった。(全3回のうちの3回)

セレスティア・グロウンさん ©文藝春秋 撮影・鈴木七絵

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女装に対して「実はあまりいい印象はなかったんです」

――セレスティアさんがドラァグクイーンとしてデビューしたのは、2018年の3月。大学を卒業して滋賀から関東へ移り住む直前だったんですよね。

セレスティア ゲイイベントに出入りするようになってからも女装をしたいという興味がなかったし、趣味も男性的なものが多かったんです。なので私は傍目にはゲイであることがわかりにくいタイプだと思います。実際に今勤めている会社でもまだ気づかれていませんし(笑)。でもクラブのゲイイベントでViViさんというドラァグクイーンのあまりの美しさに衝撃を受けて、「男性でもこんなに綺麗になれるのか」と興味を持ちました。

――それまでは女装に対してどんな印象だったんですか?

セレスティア 実はあまりいい印象はなかったんです。テレビでゴリエさんや慎吾ママのような「女装」の方が登場することもあったのですが、コミカルで、いじられて笑いを取るイメージが強くて苦手でした。ゲイにもいろいろなタイプがいますがテレビに出るのはオネエ言葉の方が多くて、ゲイとして生きていくことを決めた後も、ゲイバーやクラブイベントに行きはじめるまでは「私とは違うな」と思って見ていました。

 

――「ゲイ=オネエ」という印象は今でも根強いですよね。

セレスティア そうなんです。もちろんオネエ言葉が悪いわけではないのですが、ゲイのイメージが固定されてしまうのが息苦しいな、という感覚はありました。女装も同じで、女装が「コミカルで笑っていいもの」や下手をすると「バカにしていいもの」として扱われることもあってちょっと遠ざけていました。

――そのイメージが、美しいドラァグクイーンと出会ったことで覆った。

セレスティア ViViさんは本当に美しくて、かっこいいんですよ。「メイクでこんなキレイになれるんだ」というドラァグクイーンに対して憧れの気持ちが一気に芽生えました。