――初めて女装した自分の姿を見た時はどんな気持ちでしたか?
セレスティア 初めてメイクしたのは2018年の1月だったかな。その頃周りの友人達から「顔も薄くてメイク映えしそうだし体型も細いしドラァグクイーンになればいいのに。」と半分冗談でそそのかされていたのを、真に受けてドラァグクイーンになりたいと言い出した頃だったんです(笑)。それを見かねた友達がクリスマスにメイク道具をプレゼントしてくれて、イチからメイクを練習して写真を撮ってSNSにアップしたらすごく反応がよくて。
――どんな反応があったんでしょう。
セレスティア 「キレイ」「いいやん」って言ってもらえるのが素直に嬉しかったです。そのうち「ドラァグクイーンデビューはいつ?」と煽られるようになって、引くに引けなくなっちゃって(笑)。
――トントン拍子でデビューへ。
セレスティア そうなんです。クラブで知り合ったイベントオーガナイザーの方が「大阪でデビューしてから東京へ行け」と言ってくれて。ショーは引っ越しの2日前でした。セレスティア・グロウンという名前もその時につけました。
意外にも初舞台では頭が真っ白に
――優しいながらゴージャスで、とても似合うお名前だなと思っていました。何か由来があるのですか?
セレスティア 「セレスティア・グロウン」という名前自体はゲイの友達が考えてくれたんですけど、綴りは自分で決めました。セレスティアの“セレス”はローマ神話の豊穣神“Ceres”から取っています。私が大学時代に植物の研究をしていたので、自分らしくていいなと思って。グロウンは「Grown」で「大きく育った」という意味。こっちは身長のことですね(笑)。
――初舞台は成功しましたか?
セレスティア それが大失敗でした。直前までまったく緊張していなくて余裕があったのですが、いざ舞台に立ってライトを浴びた途端に頭が真っ白になりました。アリアナ・グランデの「ブレイク・フリー」のダンスを頑張って練習していたのに、当日はほぼ棒立ちでした。舞台袖に戻って、悔しくて泣きましたね。
――苦いスタートだったのですね。
セレスティア 新宿二丁目に通うようになってからも、メイクや女装は好きだけどショーはずっと苦手という状態でした。新人クイーン4人が競うコンテストに出た時も最下位で、ドラァグクイーンとしてやっていけるか自信を失いかけていて、そんな精神状態ではショーが成功するわけもなく、悪循環に入っていました。