ESPNの記者はもちろん水原氏に発言を覆した理由を問いただしたが、「発言は虚偽だった」という回答だった。
しかし、パソコンにログインしての送金などの水原氏の証言は生々しく、大谷が送金に関与したかどうかは今後の捜査を待つしかない。大谷が関わっていないとすれば、水原氏は大谷の口座から巨額の資金をどのようにブックメーカーに送ったのか。そして大谷の代理人弁護士の表現する「窃盗」ならば、賭博よりはるかに重い罪に問われる可能性もある。
「大谷サイドは水原氏とは意思疎通を取りながら整合性にほころびが出ないようにしていくと思います。水原氏のギャンブル依存症という個人の問題にとどめると思います。大谷は米球界待望のスーパースターなんです。MLBも大谷に火の粉を飛ばすわけにはいかないでしょうから…」(MLB西海岸球団関係者)
「賭博問題の真相を追及しても誰もハッピーにならない」
MLBはかねて人気面でアメフトやバスケットボールに後れを取っている状況で、大谷は復活のための起爆剤だった。このことは2021年のオールスター戦で、二刀流でプレーさせるために、投手と指名打者の同時先発が可能な特別ルールまで導入したことからもわかる。翌年には公式戦にも導入され、メジャーでは「大谷ルール」と呼ばれている。
さらに、ロンドンや中米で公式戦を開催し、2025年には日本で開幕戦を行いドジャースが来日するプランもあると言われる。
MLBが描く国際戦略の中で、大谷は決して欠くことができない象徴的な存在なのだ。それは今回の騒動への対応でも揺らぐことはなさそうだ。
「今回の賭博問題の真相を追及しても誰もハッピーにならないことはMLB、ドジャース、スポンサーを含めた利害関係者全ての一致した認識だと思います。大谷を守ることが第一で、それは水原氏自身もよくわかっていることでしょう。今後よほど大谷に不利な事実が発覚しない限り、イメージダウンしないようMLBは全力で擁護していくと思います」(同前)
一点の曇りもない二刀流が再び見られる日が早く来ることを祈るほかない。