だから、まず、毒量を減らす必要がある。とりあえず、洗って吸い出すに限る。腫れてきたら、患部がパンパンになって毒液を外に出すのが難しくなるので、「あっ、咬まれた!」と思ったら、焦らず慌てず、吸い出す。それから119番に電話する。
病院に運ばれても、ハブ治療に詳しい医者は同じ対応をするはずだ。咬まれたところを切開して、毒を洗い出して、血清を注射する。後は自然治癒に任せるしかない。最初の数日は患部が腫れて痛いが、1週間程度で日常生活に支障はなくなる。
治療が遅れれば遅れるほど、ハブ毒が作用して回復にも時間がかかる。
最近は治療法も普及してきているが、毒を洗い出さない医者も未だにいる。
歩行できなくなってしまった知人
私の徳之島の知人は、夜中に寝ているときに家に侵入してきたハブに咬まれてしまった。病院に行ったものの、「あなたは昔、1回咬まれてるから、免疫があるからね」と抗生物質を注射するだけ。慌てたのがこの知人本人だ。私が日頃からハブの治療については、うるさく話していたから夜中に泣きながら電話をかけてきた。「服部さん、ちゃんと治療するように説得して」。
私もそれは危険な対応だなと思って、電話越しに、「切開して、傷口を洗ってから血清を打って下さい」と伝えたが、いかんせんその医者は経験がない。全くわからないから治療の手順を勉強して、ようやく治療に入った際には咬まれてから6時間くらい経っていた。それくらいの時間があればハブ毒は体のあらゆるところに作用してしまう。
その知人が以前に咬まれた際には、日曜日に咬まれて、その週の金曜日には涼しい顔で猟(ハブ獲り)に出ていたが、その時は半年くらいまともに歩けなくなってしまった。いかに初期対応を間違えてはいけないかがわかるだろう。
毒は飲んでも問題ない
「その場で吸い出せ」と言われても、どうやって吸い出すんだろうかと疑問に思った人も多いはずだ。
結論から述べると、口で吸い出すのが最もポピュラーだ。