トヨタ自動車は3月21日、社外監査役に元中日新聞編集委員・長田弘己氏(50)を起用する人事を発表した。同社初のマスコミ出身の役員となる見通し。ただ、長田氏がトヨタの豊田章男会長(67)と極めて近い記者とされることから、関係者の間でこの人事が大きな波紋を呼んでいる。そんな中、中日新聞の大島宇一郎社長(59)が「週刊文春」の直撃取材に対し、長田氏の取材姿勢やトヨタとの関係などについて語った。また、トヨタも取材に対し、「『外の目』と『中の目』を兼ね備えたジャーナリスト」などと回答した。

創業家の豊田章男会長 ©時事通信社

「トヨタウォーズ」と題する大型連載を手掛けた

「週刊文春」は2月22日発売号で、「豊田章男トヨタ会長はなぜ不正を招いたのか」と題した8ページに及ぶレポートを掲載。グループ会社で相次いで発覚した不正の背景や、豊田会長が重用してきた元レースクイーンや元コンパニオンとの「本当の関係」などについて詳報した。

 そんなトヨタが今回、社外監査役に起用すると発表したのが、中日新聞の女性編集委員として有名な存在だった長田氏だ。どんな人物なのか。

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新任監査役候補(トヨタのHPより)

「1999年に入社し、ニューヨーク特派員などを経て2019年からトヨタグループ取材班のキャップを務めた。在任中に『トヨタウォーズ』と題する大型連載を1年半にわたって手がけ、章男氏にベッタリと密着していました」(中日新聞社員)

 2020年7月には、中日新聞は章男氏の「単独インタビュー」を実施。するとその記事は後日、トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」で全編公開された。

「つまり、トヨタとコラボしたPR企画を『単独インタビュー』と銘打っていただけでした。中身も、コロナ禍での章男氏の戦いや経営哲学などをカッコよく描いたもの。こうした経緯から、彼女は一部で“喜び組記者”とも言われていました」(自動車業界に詳しい経済部記者)