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「ギリシャ悲劇のようだと思った」プロレスファンの監督が“フォン・エリック一家”の実話を映画化した理由

映画『アイアンクロー』ショーン・ダーキン監督インタビュー

2024/04/04

source : 週刊文春CINEMA 2024春号

genre : エンタメ, 映画, 国際, スポーツ

note

 今作はこれまでに手がけた映画とはかなり毛色が違うが、ダーキンによれば、ここで語られるテーマは彼の過去作にもつながっている。それは「有害な男らしさ」。『アイアンクロー』は、レスリングと家族の悲劇を描いただけの映画ではないのだ。

「ひとつ前の『不都合な理想の夫婦』でもそこに触れたけど、この映画ではもっと掘り下げたつもりだ。男たちが自分の息子にもっと優しく接するようになれば、この世の中はもっと良い場所になるんじゃないかな」

 この映画を観た男性たちに、その思いは伝わるだろうか。

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ショーン・ダーキン 1981年カナダ生まれ。2011年に『マーサ、あるいはマーシー・メイ』で長編デビューし、サンダンス映画祭で監督賞を受賞。2作目の『不都合な理想の夫婦』(20年)も各国の映画祭で高い評価を受け、以降も監督、脚本家、プロデューサーとして幅広く活躍している。

『アイアンクロー』

INTRODUCTION
気鋭のスタジオA24と『マーサ、あるいはマーシー・メイ』の鬼才ショーン・ダーキン監督がタッグを組み、「呪われた一族」と呼ばれたフォン・エリック・ファミリーの悲劇と知られざる真相を映画化。プロレスファンに広く知られる実話を家族の愛情と葛藤のドラマとして再構築してプロレスにまつわる栄光と挫折を掘り下げ、植え付けられた価値観からの解放という今日的なテーマに踏み込んだ、胸の奥深くに刺さる人間ドラマに仕上げた。

STORY
必殺技・アイアンクローで一世を風靡したプロレスラーのフリッツ・フォン・エリック(ホルト・マッキャラニー)は、自らの夢を息子たちに託すべく、厳格な指導のもと次男のケビン(ザック・エフロン)を筆頭にしたレスリング界最強のファミリーを作り上げようとしていた。だが、プロデビューした兄弟たちは病死や自殺で次々と世を去り、生き残ったのはケビンだけになっていた。それでもなお悲しみを拒絶し、強さを誇示しようとする父フリッツを目の当たりにして、ケビンはついに人生最大の決意をする。

STAFF & CAST
監督・脚本:ショーン・ダーキン/出演:ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、ハリス・ディキンソン、モーラ・ティアニー、スタンリー・シモンズ、ホルト・マッキャラニー、リリー・ジェームズ/2023年/アメリカ/132分/配給:キノフィルムズ/4月5日公開

「ギリシャ悲劇のようだと思った」プロレスファンの監督が“フォン・エリック一家”の実話を映画化した理由

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