1ページ目から読む
4/4ページ目

「オオタニとは何者だ?」ナゾを抱かせている理由

 会見後も疑念が抱かれている背景については、ロサンゼルス・タイムズのスポーツコラムニスト、ディラン・ヘルナンデス氏が「賭博及び窃盗疑惑は一つの大きな疑問を提起している:大谷翔平とは何者だ?」と題するコラムで、大谷選手という人物が何者であるかわからないことが、疑念に拍車をかけているという見方を示していて興味深い。長い間、大谷選手を追ってきたヘルナンデス氏だけに、その考察には深さが感じられる。

 同氏は、会見からは「水原がどのようにオオタニの銀行口座にアクセスしたのか?」「オオタニの財務監督をしていた人から摘発されることなく、どうやって、数百万ドルの支払いが行われたのか」という疑問の回答が得られなかったとしつつ、大谷選手はメジャーリーグに移籍して以来、彼は何者なのだという謎を皆に抱かせており、その謎が説明されれば、彼の主張は信頼性を高めることができたのではないかとの見方をしている。

 謎を抱かせているのは、大谷選手がジャーナリストや選手たちから距離を置いて、私生活も明らかにしていないからだというが、そういったアプローチでは、大谷選手の言うことを信じられない人が出てくるという欠点があるというのだ。同氏はこう述べる。

ADVERTISEMENT

「オオタニが何者なのか全く分からないのに、オオタニの言うことをある程度の確実性を持って信じることができる人は、理性を放棄した狂信者以外にいるだろうか?(いないだろう)」

まだ知られていない大谷選手の顔が、この事件で明らかになる?

 理性を放棄した狂信者だけしかオオタニの言うことを信じられない、とはあまりにも辛辣な指摘だが、それだけ、大谷選手は自分が何者なのか人々に示すことができていないと同氏は言いたいようだ。

 つまり、大谷選手が野球にしか興味がない野球少年で、お金に無関心なことが人々に示されていれば、“水原氏が数百万ドルを盗んだことに大谷選手が気づかなかったのはおかしい”という疑問は人々から出てこないのではないかということだろう。大谷選手が人々から距離を置いていることから、人々は彼がどんな人物かわからず、そのために人々の中に疑念が生まれている状況があるということか。

 ヘルナンデス氏は「オオタニ選手の性格がほとんど知られていないため、スキャンダルを洞察することはできないが、逆に、この事件から明らかになる詳細によって、オオタニ選手が何者であるかが明らかになるかもしれない」との見方も示している。まだ人々には知られていない大谷選手の顔が、この事件により明らかになる可能性があるということだろうか?

 疑問が残されたままとなった大谷選手の記者会見。

 大谷選手サイドは疑問の声に応えるべく、撮影を許可し、記者の質問に応じるオープンな記者会見を開いて、記者を納得させられる日が来るのか?