日本時間5月15日、罪状認否のため公の場に久しぶりに姿を見せた水原一平容疑者。今後彼が収監される可能性がある米国の刑務所は、どのような場所なのか。ロサンゼルス在住のジャーナリストが伝える“アメリカ人が見た水原事件”と米国刑務所の実態――。(全6回の6回目/最初から読む

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 約24億円にのぼる大谷翔平選手のお金を賭博の借金を返済するため胴元に不正送金した「銀行詐欺罪」。そして虚偽の納税申告書を提出した「納税詐欺罪」で告訴されている元専属通訳・水原一平容疑者は、14日、ロサンゼルスの連邦地裁に出廷し、無罪を主張した。「納税詐欺罪」については、2022年、水原容疑者は課税所得をわずか13万6865ドルと申告しているが、実際は、410万ドル以上だったため、110万ドル以上脱税していることがわかった。

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©時事通信

 8日に提出された司法取引の合意書では、水原容疑者が歯の治療を装って、大谷選手から6万ドルの小切手を受け取っていたものの、その小切手は自身の口座に入金し、大谷選手のデビットカードを使って歯科医に6万ドルを支払っていたことも明らかにされている。

 詐欺に詐欺を重ねていた水原容疑者。スキャンダル発覚後は、大谷選手もスキャンダルに絡んでいたのではないかと懐疑的見方をするアメリカのメディアもあり、ドジャースのお膝元で発行されているロサンゼルス・タイムズのコラムニストも疑いの目を向けていたほどだったが、今では、大谷選手に対する不信感は概ね払拭されたようだ。

 実際、水原容疑者の罪状認否に関するアメリカメディアの報道を見ても、AP通信の情報をベースに、これまでの賭博スキャンダルの経過と水原容疑者が無罪を主張したが、それは手続きの形式上のことで後日有罪と認める見通しであること、「銀行詐欺罪」で最長30年の禁錮刑、「納税詐欺罪」で最長3年の禁錮刑になる可能性があるとのことを淡々と述べるに留まっている。

今も根深い“アンチ・オオタニ”の声

 しかし、である。一部では、今もなお、大谷選手のことを怪しむ声がスポーツ関係者からあがっている。その人物とは、NBAの元審判のティム・ドナヒー氏。同氏には2000年代に自身が審判を務めた試合に対して賭博を行った罪で刑務所に入れられた前科があるが、スポーツニュースサイト「アウトキック」でインタビュワーの「オオタニが(水原容疑者の賭博について)知らなかったってことはありえる?」との質問に対して、こんな持論を展開した。