水原容疑者が大谷選手を庇っているという声に対して反論する声もある。
「ミズハラはオオタニをかばっているだけだというファンもまだいるけど、僕はどんな友達のためであったとしても、3年も刑務所に入るつもりはないし、ましてや33年も入るつもりもないね」
水原容疑者は日本に強制送還される可能性もあると一部のアメリカメディアは報じた。水原容疑者は永住権を保持しているが、司法取引の合意書によると、米国市民ではないという理由で国外追放される可能性があるというのだ。それに対しては「日本に強制送還されたら、イッペイはリンチにあうだろう」という声もあがっている。
もっとも、日本への強制送還は服役後になる可能性もあると言われているが、日本での生活はアメリカの刑務所生活よりはマシかもしれない。
受刑者も看守もレイプする。3年間の被害者は全米で約5000人
筆者は、拙著『銃弾の向こう側―日本人留学生はなぜ殺されたか』の取材で、アメリカの刑務所の実態について、収監されたことがあるヒスパニック系のギャングたちに話を聞いたが、それはあまりにも恐ろしいものだった。アジア系の受刑者はすぐにレイプの対象にされていたという。
「新しく入ってきた受刑者は注目を浴び、みな舐め回すように見ていた。アジア系の受刑者はすぐに同じセル(刑務所内の監房のこと)の受刑者にレイプされていた。シャワールームでも、看守が目を離している隙に、サッとやられていた。抵抗する気力もなくして、すすんで受刑者らのオモチャになっているように見えた。かわいそうだったよ」
アメリカでは受刑者は同じ受刑者からだけではなく、看守にレイプされることもある。米司法統計局が2023年1月に発表した「成人刑務所に収容されている受刑者が他の受刑者または職員によって性的被害を受けたことが立証された事件に関する報告書」によると、2016年から2018年の3年間で受刑者により性的被害を受けた受刑者は2666人、職員により性的被害を受けた受刑者は2229人に上っているのだ。
靴を踏んだだけで殺される
リンチや殺人も起きている。日本で知られているところでは、黒人男性ジョージ・フロイドさんを暴行死させてアリゾナの刑務所に服役中の元警官デレク・ショービン氏も、他の受刑者に“あり合わせの材料”で作ったナイフで22回前後刺されている。
しかも、アメリカの刑務所ではちょっとしたミスで殺されることもあるという。あるギャングはこんな光景を目の当たりにしていた。
「ある受刑者が別の受刑者の靴の先を踏んづけたんだ。わざとではなく、誤って、うっかり踏んだだけだった。しかし、踏んだ受刑者はそのことを謝罪しなかった。彼は靴を踏まれた受刑者から『おい、おまえ、ノー・リスペクトだな』と怒鳴られ、あっけなく殺された」