現地時間4月12日、大谷翔平選手(29)の元通訳の水原一平容疑者(39)は司法当局に身柄を拘束された。大谷選手の銀行口座から24億5000万円以上不正に送金を行なった疑いで訴追されたのである。

 ただアメリカ人の中には保釈された水原容疑者ではなく“大谷主犯説”を捨てきれない人もいるというのだが……。ロサンゼルス在住のジャーナリストが伝える“アメリカ人が見た事件の全貌”。(全6回の6回目/前回を読む

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©時事通信

銀行員をだまし大谷選手の口座から大金を送金

 2018年3月、大谷選手は、MLBの給料入金用の銀行口座を開いたが、それを手伝ったのが水原容疑者だった。水原容疑者は、この口座から、2021年11月15日、ペイパルのXoom.comを通じて、初めて、40,010ドルの不正送金に成功している。

 また、水原容疑者は大谷選手のふりをして、銀行の従業員を騙すことにも成功していた。2022年2月2日、水原容疑者は大谷選手のふりをして銀行に電話、大谷選手の自動車ローンを送金すると嘘をついて胴元に電信送金しようとしたが、上手くいかず、銀行はオンライン取引を一時停止した。しかし、大谷選手の個人情報を把握していた水原容疑者は、個人情報に関するセキュリティーの質問に答えて、オンライン取引の一時停止を解除、大金の送金に成功した。

 大谷選手の口座へのコンタクト先も、水原容疑者の携帯電話や水原容疑者に繋がる匿名のメールアドレスに変更され、大谷選手には銀行からコンタクトが行かないように操作していた。

 水原容疑者は、大谷選手の代理人や財務アドバイザー、会計士を騙すことにも成功している。

 その背景には、大谷選手が代理人とミーティングする際には、水原容疑者が常に大谷選手に同伴して通訳し、代理人は個人的に通訳を雇うなどして直接大谷選手とやりとりすることがなく、常に水原容疑者を通じてやりとりするという状況があった。彼らは、大谷選手が絶大な信頼を置いていた水原容疑者の言うことを信じ切っていたわけである。