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「最強の半グレは死んだんや」ヤンチャな少年が“大阪最強の半グレ”にケンカを売るが…サップ西成が無礼な子どもを瞬殺しなかった理由

『サップ西成自伝 奪還 「大阪最強の半グレ」と呼ばれた男』より #4

genre : ライフ, 社会

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 ただし私に慢心はない。これはただ「発信力」による成果ではなく、ここまで地道に生きてきたことが与えてくれたギフトだ。

「BREAKING DOWN」に参戦しようとしている人へ伝えたいこと

 特に「BREAKING DOWN」に参戦して、自分の未来を切り開くきっかけにしようとしている若い人たちに強く伝えたい。最初になければならないのは「発信力」ではなく、「常識」や「社会性」である。そうした普通の基準があって、初めて「発信力」がパワーを持つ。

 お前が言うか、略して「おまゆう」に聞こえるかもしれないが、このことに気がつかずに長く人を傷つけてきてしまった人間の精一杯だと受け取ってほしい。

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 私にとって何より喜ばしいのは、発信力による恩恵を受け取るのが私だけに留まらないことだ。

 児童養護施設への炊き出しを私はずっと継続してきた。もちろん個人の持ち出せる資本力には限界がある。発信力が備わったことでボランティアへの協力者や、寄付などが増えている。

 おかげで施設の子供たちによりよい「クリスマス」をプレゼントできるようになったのだ。

 つい先日、TikTokでライブ配信をしていたところ、

「あの時にお菓子とか食べ物をくれたの覚えてますか?」

 というダイレクトメールが送られてきた。当時、孤児院にいた小学校5年生の少女は、もう25歳になったという。

 他人のためにできることが増えることほど喜ばしいことはない。私は、ようやくここにたどり着いたのである。

(写真=徳間書店提供)

ターニングポイント

 2024年1月1日、能登半島で巨大地震が発生し、深刻な被害を与えた。不幸にも亡くなってしまった方のご冥福を心より祈る。また、被災した人の生活が一刻も早く元に戻ることも願ってやまない。

「催事」をやっていた関係もあって、被災地にボランティアに出かける知人は少なくない。1回行ったら何百万円という費用がかかるのだから、個人でできることには限界がある。

 そんな中、あるボランティアをしている知人から「米が足らない」という相談を受けた。その人は自分の名前で、米不足を伝えるのが苦手だという。今こそ、私が得た新たな武器「発信力」を利用する時である。

「それやったら僕が発信するわ」

 そう告げた私は、早速、自身のInstagramを通じて被災地用の米不足を訴えた。アンディ南野氏も協力してくれたおかげで、かなり早い時間で米を集めることができたのである。

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