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 プリシラのドレスにはそんな時代背景が反映されている。プレタポルテの台頭はその一端に過ぎず、1960年代はさらに大きなカルチャームーブメントの波が、音楽、ファッション、映画等、全ジャンルを飲み込んだ時代だった。

アメリカではヒッピー、イギリスではモッズが浸透

 アメリカでは、1960年代のサンフランシスコに住む若者たちを指す言葉が起源とされる“ヒッピー”の一部が、延々と続くベトナム戦争と徴兵制に非暴力で対抗するカウンターカルチャーを形成し、そのスピリットがロック音楽、映画、ファッションへと広がっていく。

 同じ頃、イギリスでは、1950年代後半から1960年代にかけて労働者階級の若者たちの間で流行したライフスタイル、“モッズ”がユースカルチャーとして浸透し、同じく音楽やファッションに多大な影響を与える。

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 1960年代後半になると、“モッズ”は“スウィンギング・ロンドン”という呼び名に置き換えられ、音楽界からはビートルズが、ファッション界からはミニスカートを穿いた元祖スーパーモデル、ツイッギーが、映画界からはジェームズ・ボンド等時代のアイコンが次々と生まれ、世界のカルチャーシーンを席巻していく。

 そんな時代に作られた映画、またはそんな時代を懐かしむ映画から、時代の息吹を感じさせる代表的なファッションを幾つか紹介しよう。

ミニスカートが世界的なヒット商品に

 画面を覆う不吉な空気がカリフォルニアの青い空と相まって、独特の雰囲気を漂わせるクエンティン・タランティーノの監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)の舞台は、“ヒッピー”文化真っ直中の1969年。

 街はペーズリー柄のカフタンドレスにバンダナ、カットオフのデニムショーツを穿いた“ヒッピー”たちで溢れ、マーゴット・ロビー演じるヒロイン、シャロンはチューブトップのホットパンツと膝下までのブーツ、ミニスカートで登場する。

ミニスカート姿のマーゴット・ロビー(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』公式サイトより)

 因みに、劇中でスタントマンのクリフを演じるブラッド・ピットが着ている、アジアンモチーフのヴィンテージ・アロハとリーバイス501、モカシンのフリンジ付きブーツも、’60年代を代表するメンズアイテムだ。